――『NARUTO -ナルト-』、『NARUTO -ナルト- 疾風伝』、そして劇場版と、ナルトが成長していく姿を演じるのに難しさはありましたか?
私たち人間は1年365日、一日一日を普通に生活していて、いつのまにか成長できていたり、できていなかったりという速さでしか進んでいません。でも、アニメのように一気に2年半とか10年とか時間が経過した設定になると、同じ体でありながら違う心を入れていく感じになるので、そこに少し混乱はあります。違う役であれば新しく思いを作っていくこともできますが、ナルトという"外枠"がはっきりしている分だけ難しいですね。でも、それに対しての打開策はなくて、毎回毎回悩んで、それでも今できる精いっぱいをナルトにぶつけようという気持ちで今もやっています。
――原作である漫画『NARUTO -ナルト-』は『週刊少年ジャンプ』2014年50号の第700話で最終回を迎えました。
私が心にきたのは699話です。(ナルトを受け入れた)サスケの涙に心がぐっときました。
――ファンのみなさんそれぞれに、好きなシーンがあるかと思います。
「ナルトの言葉や行動から、前向きになることができました」というお礼のメッセージはたくさんいただきます。でもそれは私というよりもナルトに対してなので、ありがたくナルト君に「ほめられてるよ!」って報告しています。私はナルトを演じてはいるものの、みなさんと同じようにナルトに感銘を受けている側なんです。
――ナルト自身が発する言葉もそうですが、人を勇気づける名ゼリフが作品には多く登場します。
「まっすぐ自分の言葉は曲げねぇ。それが俺の忍道だ!」というセリフがナルトの決めゼリフで、勇気づけられやすい言葉ではあります。でも、それ以上に私が勇気づけられ、彼により親近感を覚えたのは、自来也が亡くなった時の涙、そして父親・母親と精神世界で会った時の涙ですね。愛情を受けた時、言葉ではなくて、それを体でダイレクトに表現するナルトの姿勢が私は好きです。
――あらためて、『NARUTO-ナルト-』作品の魅力は何でしょう?
人としての愛情があふれているところではないでしょうか。もともと生みの親である原作者・岸本先生からの愛情が純粋で温かいし、それに関わっているスタッフのみなさんがそれをまた増幅している。そんな、人の前向きな心持ちがとても心惹かれるポイントになっている気がします。
――最後に、映画の見どころをお願いします。
新世代のボルト、サラダ、ミツキたちのお話の繰り広げられる世界は、やっぱり木ノ葉の里。そこで生きてきた木ノ葉のみんながいて、すごく壮大な家族映画みたいです。ですから、ぜひ家族で見に行ってほしいですね。でも、これを見た全員が、きっと父親に優しくしようと思うはず。「お父さんは口には出さないけど、本当は大変なんだよ」というところが、私が一番みなさんに見ていただきたいところですね(笑)。
■プロフィール
竹内順子(たけうちじゅんこ)
1972年4月5日生まれ。埼玉県出身。2002年の放送開始からアニメ『NARUTO』シリーズで主人公・ナルトを演じている。ほかにも、『Yes!プリキュア5』の夏木りん役や『イナズマイレブン』の円堂守役などで声優を務めるほか、舞台などで幅広く活躍している。
(C)岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ
(C)劇場版BORUTO製作委員会2015