Imagine Cup World Finals 2015が米ワシントン州レドモンドの本社キャンパスで7月末に開催された。全世界の地区大会を勝ち抜いてきたチームが優勝を競い合う本大会だが、7月29~30日の2日間は各チームのプレゼンテーションと部門審査の結果が発表、31日に米シアトル内の専用会場で総合優勝が発表された。今回は29~30日の本社キャンパスでの様子を紹介する。(関連記事:【Imagine Cup World Finals 2015】世界最大の学生ITコンテスト、日本ら地域代表33チームが集う、学生が世界に向けて飛び立つマイクロソフトのImagine Cup、日本代表は"風"が決め手に)
Imagine Cupの週は本社キャンパスでもイベントが目白押し
World Finalsの開催期間、会場となったシアトル~レドモンド周辺の天気は快晴で、気温はやや高めながらも乾燥して非常に過ごしやすい気候になっていた。
世間的には7月29日にWindows 10が発売されることもあり、Microsoft本社的に「Windows 10で盛り上がっているのではないか」と期待する部分もあったが、そうした"もの"は特にフィーチャーされておらず、むしろ別の意味でMicrosoft全体がお祭り状態の週だった。
例えば同週は、米シアトル市内で技術系社員を対象にした「TechReady 21」が開催されており、レドモンドの本社キャンパスでは「Imagine Cup World Finals」のほか、「//oneweek」という社員向けのネットワークイベントが開催されているなど、一種の社員交流や勉強を目的としたイベントが盛りだくさんとなっている。
Imagine Cup World Finalsの主要舞台となる米Microsoft本社キャンパスの建物の1つ「Building 92」。ビジターセンターやカンパニーストアがあり、事実上同社の顔的な存在となっている。周辺ではImagine Cupのほか、「//oneweek」という本社キャンパス社員向けの年次イベントも開催されていたりと、イベント盛りだくさんの週だ |
Imagine Cup自体も発表が終了した29日夜や30日は展示会場が社員や"その他来訪者"に開放されるため、これら交流イベントの一環としても機能しているようだ。
従来までのImagine Cupでは地区大会を含め、各チームが10分間のプロジェクトに関するプレゼンテーションを行った後に、審査員らから質問を受けてそれに答えるQ&Aまでをセットにして一括審査されていたが、今回のWorld Finalsでは若干ルールが変更され、Q&Aなしでひたすら各チームのプレゼンテーションが行われるというスタイルとなった。
World Finalsは前日のリハーサルを経て、29日にプレゼンテーションと審査員による個別Q&A、30日に部門賞発表、31日に米Microsoft CEOのSatya Nadella氏による総合優勝チーム発表というスケジュールになっている。これは29日の各部門の審査の様子 |
「World Citizenship」「Games」「Innovation」の3部門に会場が分かれ、同時進行の形でノミネートされたチームが準備、プレゼンテーション、撤収をひたすら続けていく形となる。午前の部と午後の部で、それぞれ5~6チームのプレゼンテーションが終わると、2時間弱ほどの時間が用意されて審査員が個別にチームメンバーへの質問を行っていく。
Games部門出場チームの1つ、ポーランドのBandbarian。フィットネスバンドとMinecraft風キャラクターを組み合わせた競争タイプのゲームで、ゲームデザインの変革やビジネスモデルについての説明が行われている |
Innovation部門出場チームの1つ、ブラジルのeFitFashionがアーキテクチャの説明を行っている。カスタムメイドの服をオンラインやアプリで簡単にオーダーできるシステムで、プレゼンテーションに出場したチームメンバーが着ているシャツも自身のシステムを利用したもの |
プレゼンテーションとQ&Aを分離したことで、限られた時間での数問のやり取りでの気の利いた受け答えが求められない反面、審査員個々人と対面でより詳しくプロジェクトの説明が可能になったため、よりチームの地力を見られる傾向が強くなったといえるかもしれない。
筆者はスケジュールの関係で6チームのプレゼンテーションしか見ることができなかったが、さすがにすでに地区大会を勝ち抜いてきただけあって、プロジェクトの出来もさることながら、その説明や受け答えも洗練されており非常に感銘を受けた。
だが、基本的に10分間の短いプレゼンテーションの間にプロジェクトの概要、チームのバックグラウンドの紹介、プロジェクト成果物のデモンストレーション、どのようなサービスや製品を使ったかの技術解説、ビジネスモデルや今後の抱負などを盛り込む必要があるため、全体に駆け足で要素を盛り込みすぎて見せたいポイントがわかりにくいプロジェクトもみられるなど、緩急つけるバランスの良さも必要ではないかという印象も抱いた。