ソフトバンクグループが注力する3つの成長分野

今後成長が期待される様々な分野の中で、孫氏はその中心になるものとして「IoT」「AI」、そして「スマートロボット」の三つを挙げた。

ソフトバンクグループが注力する3つの成長分野

IoT (Internet of Things=モノのインターネット)については、現在1人平均2つのデバイスをインターネットに接続しているが、今後30年でそれが1人平均1000個にまで拡大すると予測。世界の人口を越える数のデバイスがあらゆる情報をクラウドに持ち込むことになる。しかし、ただデータが集まるだけでは意味がない。孫氏は、これらを分析し、データマイニングして新しいビジネスモデルを構築する「IoTエコシステム」がキーワードになると述べた。

「IoTが本当に広まるのかと疑問に思う人もいるでしょう。しかし、iPhone発売当時『日本独自の携帯文化に適合しないから日本では売れない』と言われた頃からまだ10年経っていません。スマホが人々のライフスタイルを変えたように、これからはIoTがあらゆる分野で爆発的に人々のライフスタイルを変えていくでしょう。」

1人あたり1000個、計10兆以上のデバイスがIoTに

IoTが様々な産業の基盤となる「IoTエコシステム」

AIについては、今年2月よりソフトバンクテレコムと日本IBM共同によるIBM Watsonの日本における展開を開始。また、この10月からはWatsonを活用したアプリケーションやサービスの開発・提供を行うためのエコシステムパートナーの正式募集を開始することが発表された。

孫氏の計算によると、人間の脳細胞にあるニューロンの数を、1チップ上のトランジスタ数が上回るのは、2018年になるという。これが逆転することはなく、差はさらに開いていく。これを相手に知能・知識で戦って人間が勝てるのか。人間が当たり前のように行っている作業の多くは、良い悪いは別にして、人工知能に置き換えられていく時代がやってくる。しかし悲しむ必要はないと孫氏は語る。

「単純労働はコンピュータにどんどん置き換え、AIの活用が競争力強化になる。我々は IBM Watsonとの提携により、人々の質問疑問、生活、生産性のアシストをし得る、様々なサービスを提供していきたい。」

共に2進法のニューロンとトランジスタ。数の面ではどんどん差が広がることになる

人間がより得意なこと、喜んでやりたいことをもっと磨いていけばいい

スマートロボットはこのAIとの組み合わせにより発展する分野だ。機会的な作業のためのロボットではなく、IT企業として、支援・知能・知識を強化する角度からスマートロボットに取り組みたいという孫氏。その一歩目として、この6月にPepperが「感情を持つ」ロボットへと進化したことが発表された。孫氏はこれをPepper発表の時から夢見ていたという。

「人間で想像してみてください。頭は切れるけれど心がない人よりも、励まし、慰めてくれる人と関わりたいと思いますよね。人工知能が人間を超える時代を避けて通れないなら、単に知能が優れるだけでなく、人を慮ってくれるロボットと一緒にいたいと、私は思います。」

人の感情を認識し、自らも感情を持って、それをトリガーにアクションをする

取得した外部情報から擬似的なホルモンバランスをリアルタイムでエミュレートする

ステージにはPepperも登場し、Watsonと検索機能の組み合わせにより自ら学習するディープラーニング機能や、法人向けモデル「Pepper for Biz」を10月より提供することも発表された。

知らないものを自ら学習する「ディープラーニング」機能

接客、受付などで、業務に合わせたキャラクター設定もできる