Braswell世代のCeleron N3050、その性能は?
「HP Pavilion 11-k000 x360」はCPU(SoC)として、開発コードネーム「Braswell」ことCeleron N3050(1.6GHz)を採用している。リリースは2015年4月で、タブレットなどで使われているAtom x7-Z8700と同じAirmontアーキテクチャを採用した14nmプロセスのSoCだ。Silvermontコアを採用したCeleron N2000シリーズとの主な違いは、TDPが6Wに低下している点と、内蔵GPUの実行ユニット数が従来の3倍にあたる12基に増えている点が挙げられる。
■Braswell世代Celeron N3050・Bay Trail世代Celeron N2840の違い | ||
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CPU名 | Celeron N3050 | Celeron N2840 |
開発コード | Braswell | Bay Trail-M |
アーキテクチャ | Airmont | Silvermont |
プロセスルール | 14nm | 22nm |
コア数/スレッド数 | 2/2 | 2/2 |
動作周波数 | 1.6GHz | 2.16GHz |
バースト周波数 | 2.16GHz | 2.58GHz |
キャッシュメモリ | 2MB | 1MB |
TDP | 6W | 7.5W |
グラフィックス | Intel HD Graphics(第8世代) | Intel HD Graphics(第7世代) |
グラフィックス動作周波数 | 320MHz | 311MHz |
グラフィックス最大動作周波数 | 600MHz | 792MHz |
実行ユニット数 | 12 | 4 |
DirectX | 11.1 | 11 |
OpenGL | 4.2 | 4 |
OpneCL | 1.2 | 1.2 |
Braswell世代のCPUはTDPやグラフィックス周りの性能は向上しているのだが、動作周波数はBay Trail世代よりも低くなっている。プロセスルールが22nmから14nmへと小さくなっているものの、CPUコアの性能がそれほど変わらないなら、計算性能自体は低下している可能性がある。そのあたりを踏まえながら、ベンチマーク結果を見ていこう。
Windowsシステム評価ツールの結果については、下記の表のとおりとなった。全体的にスコアは低めではあるが、ライトユースなら十分な結果だ。ただ実際にWindows 8.1を使ってみて、たとえばアプリやウィンドウを開く際にちょっとした"間"を感じる場面があった。
■Windowsエクスペリエンスインデックス(WinSAT.exe) |
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CpuScore(プロセッサ) |
5 |
MemoryScore(メモリ) |
5.9 |
GraphicsScore(グラフィックス) |
3.9 |
GamingScore(ゲーム用グラフィックス) |
4.3 |
DiskScore(プライマリハードディスク) |
5.9 |
「CINEBENCH」では、かなり低めの結果が出ている。筆者がこれまでベンチマークを取ってきた範囲内では、「CPU」のスコアはCeleron N2840よりも低く、どちらかというとAtom Z3735Fあたりに近い。やはりCeleron N3050のCPUパワーは多少低くなっている可能性がある。だがGPU性能が影響する「OpenGL」については、旧世代のCPUよりも倍近いスコアだ。
「CrystalDiskMark」でストレージのアクセス速度を計測してみたところ、シーケンシャルリードで118.6MB/秒という結果だった。「HP Pavilion 11-k000 x360」はストレージとして500GBのハイブリッドHDDを搭載しているため、一般的なHDD(シーケンシャルリードは100MB/秒前後)よりも若干速くなっている。
「CrystalDiskMark」によるストレージのアクセス速度計測結果 |
「CrystalDiskInfo」によるストレージのS.M.A.R.T.情報。試用機ではシーゲート社製の500GBハイブリッドHDDが使われていた |
「PCMark 8」の結果はそれほど悪くはないが、スコア自体は5万円前後で販売されている安価なPCと同レベルだ。ただし、さまざまなスタイルで利用できる2in1タイプのノートPCという点で、クラムシェル型の安価なPCより付加価値が高く、それが値段に反映されていると思えば納得できる。