――ギネスの場面もそうですが、監督は第1話の冒頭から始まって、ほかにもちょこちょこ出られていました。あれは観る方へのサービス精神からですか。それともご自身が出たいから?

正直に答えると、両方です。それは否定しません(笑)。みんなも楽しいだろうし、自分も楽しい。だからはっきり出ているところと、よーく探さないと分からないところもあります。今回、DVD、BDで全話に解説が付いているので(1話:ビジュアルコメンタリー、2話~12話:オーディオコメンタリー)、ここにも出てたんだ! という答え合わせができますよ。おそらく、放送時には気づかれなかったんじゃないかと思いますが、犬の声もやりましたからね。「ハァハァ、フゥ~!」とかって。アフレコで。僕もついに犬の声をやるようになったかと。そんな監督はいねえぞと(笑)。

――TEAM NACSのメンバーも全員出られています。これは監督の鶴の一声ですか?

出ないわけにはいかないみたいな暗黙の流れがあるんですよ。北海道で活躍している森崎くんには準レギュラーとして出てもらいましたが、いまや全国区で立派になったみんなにも出てもらってね。特に大泉くんは乱暴に扱いたかったので。いろいろやらせましたよ。本作はアドリブも結構あるんですけど、でも結局、一番好き放題アドリブをやってたのは大泉くんですけど。まぁ、レギュラーの遠藤さんもかなりやってましたね。その辺も特典映像で見られます。

――東京で活躍されているメンバーには、頑張ってるな~という思いですか?

頑張ってるなというのと、ときたま雑誌とかでこじゃれた感じで出ているのを見ると、何やってんだよ、調子に乗ってるんじゃないだろうなと思うこともあります(笑)。でも安田くんとかも北野映画に出たりして。かつてはただの学生でね、こんな風になったかと思ったりすると感慨深いですね。大泉くんにしても右も左もわからないやつだったのに、立派になりやがってと思います。

――鈴井監督が北海道をベースにし続ける理由を教えてください。

TEAM NACSはプレイヤーですから。ちゃんと役者として仕事をやりたいからには東京に出る必要があった。ダメだったら戻ればいい。北海道があるんだから。僕の場合は、プレイヤーというよりはプランナーや企画者という面が強いんですよね。いろんなものを北海道に引き込みたい。北海道に誘致する側だという考え方なんです。僕が何かやることに賛同してくださるときは、じゃあ北海道でやりませんか?と。そういうこだわりはありますね。

――ところで本作のタイトルに込められた意味は?

田舎って大変なんだろうと思われているかもしれないけれど、不自由なこと、不便なことって人間が生活していく上で、実は大切なことなのかなって思うんです。不便だと考えるんですよ、人間って。便利だと考えなくてすむ。このドラマからも感じるというか、考えて欲しいところがいっぱいあるはずなので、いろんなことを発見してほしいですね。

――最後にDVD、BDリリースに向けて、メッセージをお願いします。

メインのドラマはもちろんですけど、特典映像が、もうしつこいくらいありますから。森崎くんがキャストにインタビューしている取調室もおもしろかったし、ロケが終わってから赤平の地元の方と町を探訪するロケをしてるんですが、皆さん素人なのに、これがまた芸達者で。『不便な便利屋』というDVDを買うと、いろんなバージョンのバラエティが入っているという感じです。ドラマはそのうちのひとつ。特典がもう付録の域じゃないので。すごく付いてきてホント、お得ですよ。

「不便な便利屋」Blu-ray&DVD BOX 発売日:7月15日 価格:Blu-ray=1万9,000円(税別) DVD=1万5,200円(税別) 発売元=「不便な便利屋」製作委員会 販売元=東宝

■プロフィール
鈴井貴之
1962年5月6日生まれ。北海道出身。「CREATIVE OFFICE CUE」所属。舞台やテレビ番組の企画・脚本、映画監督などの肩書を持つ。また自身も俳優・タレントとして活動している。愛称はミスター。構成作家、タレントとして参加したHTBのバラエティ番組『水曜どうでしょう』は、北海道ローカル番組ながら、全国での再放送を繰り返し、全国的な知名度を誇っている。これまでに『man-hole』『river』『銀のエンゼル』『銀色の雨』の4作品で劇場用映画のメガホンを取った。

(C)「不便な便利屋」製作委員会