携帯3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)が実施している「通信の最適化」に注目が集まっている。Twitter上でスマホゲームのアップデータがダウンロードできないという話題が端緒になっているが、もともとは2011年ごろからキャリアが導入してきた技術。なぜ、この「通信の最適化」が注目を集めているのか。
「通信の最適化」を実施する目的
「通信の最適化」は、携帯キャリアがユーザーの通信内容についてデータ圧縮を行うなどして、データ容量を削減する機能と位置づけられる。こうした機能自体は、2000年代前半にウィルコムがPHSサービスで実施しており、ユーザーが同意した場合、サーバー上で画像などを圧縮し、データ容量を小さくしてユーザー側に配信する仕組みだった。当時はPHSのスピードが遅かったため、どちらかというと高速化という意図の方が大きかった。
そうした中、携帯3社はこの「通信の最適化」機能を導入。ユーザーに対して提供するようになっていた。提供時期はNTTドコモが2015年1月、KDDIが2014年12月、ソフトバンク2011年度からだという。
その目的について、例えばドコモでは「画面の表示速度や動画の再生開始時間を早くするため」と説明。「スマートフォンの画面に適したサイズに画像・動画を圧縮したり、より伝送効率の高いコーデック形式に動画を変換することを言います。なお、圧縮・変換されたデータを復元することはできません。」としている。
KDDIも同様の説明で、対象となるファイル形式としてBMP、JPEG、GIF、PNG、MPEG、AVI、MOV、FLV、MP4、3GP、WebM、ASF、WMVという画像・動画ファイルをあげている。いずれも、HTTPS通信やEメール添付ファイルの最適化は行わない、としている。
また、ドコモは現時点で「動画のみを対象としている」としており、画像ファイルに関しては最適化をしていないという(今後対象となる可能性はある)。逆に、KDDIは画像ファイルの一部を対象にしており、動画は現時点で最適化の対象にしていないという。ドコモもKDDIもアプリとブラウザの違いやストリーミング・ダウンロードの違いも関係なく、すべて最適化の対象となるそうだ。
ソフトバンクは、「通信品質及びネットワーク利用の公平性確保」の名目での通信制御と説明。「VoIP」、「動画、画像などの一部」、「大量のデータ通信、または長時間接続を伴うパケット通信」を制御することがある、としている。