まずは持ち手の感触だが、握りの部分がスポンジ生地なので、長時間使用しても手が疲れずに済む。竿の伸縮はとてもスムーズ。ひねると長さを固定できるので、調整もしやすい。重さはどうだろうか。FR10を装着して最大長にすると、それなりの重さにはなる。ただFR10自体が軽いので、スティックを最大長にしても重すぎるということはなかった。感覚としては、わりとしっかりとした傘をさしたときの重さに近いと言えそうだ。このほか液晶モニタ部分は角度を変えたり、回転させたりできるため、アングルを変えて撮影する際も画面が確認しやすかった。
さて、それでは撮影時の模様を紹介しよう。まずはオーソドックスに自分撮りをしてみた。市販の自撮り棒よりもリーチが長いため、よりワイドに撮れる印象を抱く。複数人の友だちと一緒に写る際にも便利だろう。次にハイアングルで撮影した。少し視点を変えるだけで、写真のイメージはガラリと変わる。鳥の目線からは、青々と生い茂る木々の中に独りたたずむ筆者の姿が撮れた。
逆にローアングル撮影では、背景には空と木しか映らない。6月の新緑に飛び込んだような、そんな仕上がりになる。敢えて太陽光を入れることで、幻想的な雰囲気をつくることも可能だろう。このアングルは紅葉の季節にも試してみたい。このあと、紫陽花に近づいて花越しにも撮影してみると、手前の花にピントが合い、人物はボケた写真に。これもマルチアングルスティックならではの撮り方だ。
高い位置から撮れば、より高さを強調できるのではないか。そんな意図で、滑り台の上に登って撮影してみた。結果、珍しい構図の写真を撮ることができた。
木の上に鳥が巣を作っているような場合、巣の中が撮れるかも知れない。またFR10は防水対応なので、小川の中を泳ぐ魚を撮影することもできる。このように、ちょっとした生物観察をしたいときにも利用できそうだ。
撮影日、東京は梅雨入り以降で初めての真夏日となった。そこで、噴水広場に行ってみた。普段なら、子どもたちが水遊びをしている場所だ。水辺に強いFR10の性能をフルに発揮すれば、噴水の中ではしゃぐ子どもたちの姿が撮影できるのではないだろうか。記事を締めくくるに相応しい写真が撮れそうだ。そんな思惑で訪れてみた噴水広場だったが、まさかの清掃日だった。
そこで急遽、水飲み場を噴水に見立てて撮影してみた。すると噴水の向こうに、はしゃいでいない中年筆者の姿が撮影できた。これは、当初の予定より相当地味な写真だ。地味すぎる。しかし写真をよく見てみると、しっかりと水のうねりにピントが合っているではないか。写真のプロパティを確認すると、露出時間は1/1600秒、ISO 100、絞り値はf/2.8だった。図らずして、FR10のオート撮影の性能を再認識した次第だ。
ここまで、FR10専用マルチアングルスティックについて紹介してきた。アングルが少し変わるだけで、写真の印象は様変わりする。このマルチアングルスティックが1本あれば、FR10の性能を充分に引き出すことができそうだ。ちなみにFR10では動画も撮影できる。変わった視点から撮影すれば、一風変わった動画が撮れることだろう。
「カメラは構えてから撮るもの」という常識を覆した製品がFR10。カメラに詳しくない人にとっては「露出」や「絞り」の調整は難しいものだが、カメラに任せきりで良い写真が残せるのがFR10の魅力だ。海や山など、レジャースポットへ出かけることが多くなるこれからの季節。FR10と専用マルチアングルスティックの組み合わせで、家族写真、友だちとの写真はもちろん、アーティスティックな写真、おもしろ写真などに挑戦してみてはいかがだろうか。