適性試験に自信がなくて……

――転職時の選考は、新卒時とは違った心境だったんじゃないですか?

岡田さん:そうですね、僕は同じ広告業界で3年間、他社に負けないという気持ちで仕事をしてきたので、自信はありました。選考スピードも新卒時に比べるとすごく早くて、書類や面接もすぐに通過連絡がきて、「あれ、これいけるんじゃね?」みたいな。でも、最終面接の前の適性試験に自信が持てなくて……。確実に落ちたと思ってカフェで号泣しました(笑)。自分はこんなところでまた躓くのかと……。

尾崎さん:僕も完全に落ちたと思いましたが、岡田と違ってその後すぐに面接だったので、泣く余裕はありませんでしたね(笑)。ただ、新卒のときは内定が一つもなかったので「落ちたらどうしよう」って不安がありましたが、そのときは落ちても今の会社で働けばいいと思っていたので、切羽詰まった感じはなかったです。最終面接後、1週間経っても連絡がこなかったので、またダメだったか、こんなもんかって。

――お二人とも落ちたと思っていた中で、内定の連絡が来たときはいかがでしたか?

岡田さん:相当嬉しかったですね。新卒で落ちたときは母に当たるくらいヤケになってしまっただけに、その後の3年間の頑張りが認められた気がして。

尾崎さん:僕も鳥肌が立って「うわー! やべー!」ってなりました。でも、割とすぐに「どうやって会社辞めようかな」って冷静になりましたね(笑)。退職届の書き方もわからないし。

――よくそんなにテンション急降下できましたね(笑)

憧れてた会社で働くということ

――実際に憧れの会社で働いてみて、当時のイメージとのギャップはありますか?

岡田さん:自分も営業としてそれなりに自信をもっていたんですが、入社してみたら優秀な人が本当に多くて、いい意味でのギャップにビックリしています。広告業界のトップクリエイターがいたるところにいて、そうした方たちと一緒に仕事ができるのもすごくモチベーションになりますね。

――前職も広告会社ですとそういう興奮もありますよね! 尾崎さんは異業種からの転職ですがいかがですか?

尾崎さん:僕はそういう興奮はまだ分からないんですが(笑)、優秀な人が多いというのはすごく感じてます。自分が成長できる環境だと思って志望していたので、その意味では期待以上でした。ただ、前職は日系メーカーということもあって、けっこう堅い社風だったので、博報堂のフランクな雰囲気に、かなり文化の違いは感じていますね(笑)。

――私も前職広告会社でしたが、確かにラフですよね(笑)。広告のお仕事自体はいかがですか?

尾崎さん:これは月並みな言い方かもしれませんが、自分が関わった広告が世の中に出たときの感動は想像以上でしたね。エリア限定の、本当に小さな広告だったんですけど、相当気持ちが高ぶりました。

――それは広告のお仕事の醍醐味ですよね

尾崎さん:ただ、まだ自分が全然戦力になれていないのがわかっているだけに、歯がゆい部分もあります。早く力をつけて会社の利益に貢献できるようになりたいですね。幸い、社内研修が充実しているので、博報堂大学の講義なども活用しながら、日々勉強中です。

――岡田さんは前職の経験を生かしたお仕事をしているんですか?

岡田さん:そうですね、現在は流通、不動産、ITコンサルと3つのクライアントを担当しているのですが、一人で任せていただいている現場もあります。それぞれ全然違った業務を経験をさせてもらっているので毎日楽しいです。

――御社には「多段階キャリア育成制度」という、いわば社内転職のような制度がありますが、今後のキャリアビジョンや目標も既に考えているんですか?

尾崎さん:自分の場合はまだCMのようなマスメディアの仕事ができていないので、まずは広告全般の業務を経験して視野を広げながら、早く戦力として利益貢献できるようになりたいですね。将来的には、スポーツに関わる仕事と、関西出身なので関西の企業と仕事がしたいです。

――尾崎さんの関西弁のイントネーションを文字で表現できなくて歯がゆいです

岡田さん:僕は、まず得意先とスタッフからの信頼を勝ち得たいですね。誰からも頼られる営業として、困ったときに気軽に立ち寄れるみんなの「港」になりたいです。

――…………港?

尾崎さん:あ、これ彼の決まり文句なんです。名前が岡田港(みなと)だから、みんなの「港」になりたいっていう。全然ウケへんのですけどね。

岡田さん:おい(笑)。まだ続きがあるんです! 妹が香(かおる)って言いまして、2人合わせて「香港」なんですよ。両親が香港で出会って結婚したからっていう。

――へ、へぇ~

尾崎さん:やっぱりウケへんやないかい(笑)

岡田さん:お後がよろしいようで。

――ちょ、勝手に〆めないでください(笑)

まとめ

今回のお二人のように、新卒時にどうしても入りたかった会社に見事転職を果たした話を聞くと、勇気をもらえる方は多いのではないでしょうか。新卒時は不採用になると「自分は必要とされていない」と思い込み、その会社で働くことを諦めてしまいがちです。しかし、少し視野を広げてみれば、自分が成長してその会社に求められる人材になれれば、何年後であっても転職のチャンスは残っていることに気づくはずです。社会人経験を積んで一回りも二回りも成長した自分なら、新卒時とは違った結果が待っているのかもしれません。