世間体、不安との戦い

――JUNZOさんがこれまでに遭遇した、最も強大な"敵"はどのようなものでしたか?

独立する際の「事業がうまくいかなかったら、どうしよう?」「路頭に迷ったら、どうしよう?」という不安でした。それから、世間体ですね。

――その敵をどうやって倒した(仲間にした)のですか?

不安、世間体、という敵は、私が倒したんじゃないんです。これらの敵を倒してくれた人がいるんです。脚本家の山田太一さんです。彼の『早春スケッチブック』という脚本の中に、次のようなセリフがあるんです。私は、このセリフを読んだと同時に、将来の不安はワクワクドキドキに変わり、そして、世間体など、どうでもよくなったんです。つまり、山田さんの脚本のセリフ(呪文)で、敵が倒れていったんです。どういうセリフかと言うとですねえ…

竜彦「お前らは、骨の髄まで、ありきたりだ!」

(湯のみを投げつける)

竜彦「病気はなおしゃあいいのか? 長生きはすりゃあするほどいいのか? そうはいかねえ。身体が丈夫だって、長生きしたって、何にもならねえやつはいくらでもいる。何かを、誰かを深く愛することもなく、何に対しても心からの関心を抱くことができず、ただ飯をくらい、予定をこなし、習慣ばかりで1日をうめ、下らねえ自分を軽蔑することもできず、俺が生きてて何が悪い、とひらき直り、魂は1ワットの光もねえ。そんなやつが長生きしたって、何になる? そんなやつが病気治したって、何になる?」

(急須を放り投げる。魔法瓶を放り投げる)

それから…

竜彦 「どうせ、どっかに勤めるか? どうせ、大した未来はないか? バカいっちゃいけねえ、そんなふうに見切りをつけちゃいけねえ。人間てものはな、もっとすばらしいもんだ」

竜彦「自分に見切りをつけるな! 人間は給料の高を気にしたり、電車がすいてて喜んだりするだけの存在じゃねえ。その気になりゃあ、幾らでも深く、激しく、ひろく、やさしく、世界をゆり動かす力だって持てるんだ。偉大という言葉が似合う人生だってあるんだ! 自分をみがくんだ。世界に向かって、俺を重んじよ、といえるような人間になるんだ。適当に生きるなんて事を考えるな。体裁のいい仕事について、女房もらって、子供つくって、平和ならいいなんて、下らねえ人生を送るな」

どうです? グサッと、胸に突き刺さってきませんか? 人生を変えたくなりませんか? (笑)。

ということで、私の場合、山田さんが敵を倒してくれたのでした。人生ゲームって、こんな感じで、他者が敵を倒してくれることもあるんです。面白いでしょ? 予想外の回答だったでしょ?(笑)

ドラクエ化を実践するとどうなる?

――JUNZOさんの周りに、"ドラクエ化"を実践された方はいますか?

私の友人2人は、このドラクエ化理論を知って実際に実践し、人生を楽しんでいます。そのうちの1人、私の医者の友人Dr.Hは、この理論を知り、自分の医者としての仕事もゲームとして捉えられることに気づき、今まで以上に人生が楽しくなったと語ってくれました。そのことを物語るメールを以下、紹介しましょう。

俺はねえ「患者の病気」という敵と日々格闘しているのだよ。毎日毎日、敵を分析し、敵の弱点を探し、攻撃方法を考える。その結果は、症状や様々な検査結果としてリアルタイムにフィードバックされ、HPやMPのように上下する。

病気が同じでも、年齢、その人の社会背景、脳の機能、そういったことでも攻略法は変わる。場合によっては、敵との闘いに敗れたり(治療がうまくいかない、助からない)、敗れることがあらかじめわかる(老衰のような状態になる)こともあるので、敵から逃げる(良い引き際を考える)ことも選択する。病院でできる範囲の治療、かけられるコストといった制約ルール的なものもある。

その中で、最善と思われるものを選択していく、そういった仕事であって。考えたら、毎日、診療ゲームをしているようなものなのだ。で、俺はその診療ゲームに全然飽きていないときている。

彼の場合、人生をゲーム化した、というよりも、ゲーム理論を知り、自分の仕事もゲームだと捉えられることに気づくことにより、今まで以上に楽しく仕事を楽しみながら、できるようになった例ですね。

――今後の目標を教えてください

外国語に翻訳し、全世界で読まれる本にしたいですね。なぜなら、ゲーム目的を「全人類の人生のゲーム化」に設定しているからです。

――今人生に悩んでいる方へのメッセージをお願いします

アナタは、定価5,500円のTVゲームに、面白さで負ける人生を送って、いいのか!?

――ありがとうございました

JUNZO
大学4年時、ゲームメーカー4社の面接試験を受け、エニックス(現 スクウェア・エニックス)に就職。同社で仕事をしている最中に、人生ゲーム化理論を発見。「人様のテレビゲームを作ってる場合じゃない! 自分の人生をゲーム化するほうが先決だ!」と気づき、エニックスに辞表を提出し独立。独立後は、情報誌創刊、電子ペット企画開発、銀座で占いビジネス展開、商品評価サイト企画運営、著書出版などなど…あらゆるゲーム目的(やりたいこと)を楽しみながら全て実現させている