スィフト氏によると、求められるビジュアルのトレンドにも変化が見られるという。セルフィー(自分撮り)の流行や、InstagramをはじめとするSNSの登場が影響しているといい、最近の傾向として次の4つの傾向があると説明する。

1つ目は"PERFECTLY IMPERFECT(完成された未完成)"。これはピントや露出が合っていないなど、以前は技術的にNGとされていたような写真でも、構図や人物の表情、光の加減などが優れていたり、雰囲気のあるものが人気を集めているとのこと。スィフト氏は「プロのモデルを使い、場所を選んでも、プロのカメラマンでもそういう写真は必ずしも撮れない。しかし、InstagramをはじめとするSNSで共有されている写真にはこうしたものがあふれている」と語り、SNSの流行がストックフォトのトレンドに影響を及ぼしているとした。

最近のビジュアルトレンドの1つ目は"PERFECTLY IMPERFECT(完成された未完成)"の例。撮影の技術よりも、雰囲気やセンスを重視した写真だ

2番目は"POINT OF VIEW(視点)"。これはウェアラブルカメラの登場などにより、通常のカメラでは撮ることのできなかったビジュアルが増えていると話す。例えば、頭上から捉えた写真や動物目線で捉えた動画など、ユニークなポジションや角度から撮影された臨場感あるコンテンツの需要も供給も増えているとのことだ。

"POINT OF VIEW(視点)"の例。正攻法のポジションやアングルでなく、オリジナリティある視点で捉えたビジュアルで、動画に対する需要が特に高いとのこと

3番目は"SENSORY IMMERSION(引き込まれる感覚)"。これは、被写体に近接して撮影したマクロ写真やワンシーンを切り取ったようなクローズアップ写真を指し、スマートフォンなど小さな画面のデバイスで見ることが増えているのも一因だと分析。さらに、こうした写真は「色や質感が強調されて人の感覚に訴えかける力がある」とスィフト氏は解説した。

"SENSORY IMMERSION(引き込まれる感覚)"の例。人物のパーツをアップで捉えたり、ある1点をクローズアップすることで、見る人に強い印象を残すという

そして4番目のキーワードは"ALL KINDS OF PEOPLE(多種多様な人々)"。スィフト氏によると、中でも求められてるのは"普通の人"。「人物のイメージと言えば、かつてはモデルのような人が人気だったが、最近は現実的で自然な姿の人物写真が求められている」と明かす。さらに、中でも最新のトレンドは、生き生きとした高齢者の写真が注目を集めているとのことだ。

"ALL KINDS OF PEOPLE(多種多様な人々)"。完成された、理想的な姿をした人物像よりも、リアリティある自然の姿を捉えた写真が好まれるのが最近の傾向。高齢者の写真が注目を集めているのも最近のトレンド

記者会見には、この他ゲッティイメージズ・クリエイティブコンテンツ部門のディレクター・アンドリュー・デラニー氏らが出席。ビジュアルコンテンツが広告において与えるインパクトや、高まるストックフォト需要の状況、SNSでシェアされるビジュアルコンテンツの動向などを数値による分析データを示しながら解説した。