通信部は別パーツ? それとも同一?
3キャリアで異なる可能性がある部分といえば、通信機能を司る無線モデムのチップだろう。ドコモ版とau版はそれぞれLTE-Advanced(PREMIUM 4G)やWiMAX 2+による下り最大225Mbps通信を、ソフトバンク版は4G LTEで下り最大187.5Mbps、4Gで下り最大165Mbpsでの通信に対応する。ちなみに、ソフトバンクの「4G LTE」とはFDD-LTEを使った通信で、先日までは112.5Mbpsだったものが、キャリアアグリゲーション(CA)によって187.5Mbpsに向上した。また「4G」のほうは、旧ウィルコムから受けついだAXGPをCAで使うことで165Mbpsに到達する。AXGPは技術的にTDD-LTEに近いため、実質TDD-LTEと言ってもいいだろう。
LTEについては全キャリア基本的に共通の方式(FDD-LTE)だが、WiMAX 2+やSoftBank 4Gなど、他社がサポートしない通信方式もある。また3Gの通信方式はドコモとソフトバンクがW-CDMA、auがCDMA 1X WINと分かれており、2つの通信方式の間に互換性はない。このため、iPhone 6など一部のグローバル端末の例外を除き、メーカーはキャリアごとに専用の端末を製造していた。これが、SIMロックを解除しても、MNPに実質使えないという事情になっていたわけだ。
ところが、この5月からユーザーが希望した場合、キャリアにはSIMロックの解除が義務付けられた。こうなれば、わざわざキャリアごとに内部を分けて製造する必要性はなくなる。グローバル端末のように全周波数帯をサポートする無線モデムを搭載したほうが効率がいいはずだ。
各社の発表会で担当者を捕まえるたびにSIMロック解除後の対応について確認したのだが、ハードウェア的に対応していても、キャリア側でどの周波数帯を使えるようにするか、設定ファイルはどうするかといった問題もあり、まだ彼らもどうなるかはよくわからないという。
Z4自体は強力なカメラ機能や極薄軽量ながら防水防塵を実現するなど魅力的な端末でもあり、MNPをするにしても、愛着を持って1台を長く使っていきたいという人も多いだろう。SIMロック解除が義務付けられても、端末側がサポートしていないのでは仕方がない。どうなるかは未知数だが、ユーザーにとって都合がいい方向に転がってくれることを祈るばかりだ。