「スライドショー」や「Webギャラリー」、パフォーマンス面も強化

新しいLightroomには、上記で挙げたもの以外にも数多くの機能強化が図られている。例えばスライドショー作成機能は、写真だけでなくビデオを含められるようになったのに加え、パンやズームなどのエフェクトを使用したスライドショーを作成できるようになった。また、Webギャラリー機能では、新しいHTML5対応のギャラリーテンプレートを用いることで、パソコンのWebブラウザのみならずモバイル端末のWebブラウザにも最適化されたデザインで表示できるようになっている。

さらに、パフォーマンスが要求される場面でGPU(グラフィックス プロセッシング ユニット)を使用できるようになり、処理速度を最高10倍向上できるということだ。Lightroomは従来バージョンにおいても、他のRAW現像ソフトと比べて高速ではあったが、新バージョンではさらなるスピードアップを実現している。大量の写真を扱うヘビーユーザーには見逃せない改良点だ。

ちなみに、今回登場した「Lightroom CC」は、従来バージョンの「Lightroom 5」を上書きしないで別のアプリケーションとしてインストールされる。新旧ふたつのバージョンのLightroomを使い分けることも可能なので、処理速度の向上を体感してみてはいかがだろうか。

デフォルトではGPUを使用する設定になっているが、「環境設定」の「パフォーマンス」にあるチェックボックスでオン/オフを切り替えられる

かゆいところに手が届くふたつの新機能

新しいLightroomでは多くの新機能や機能強化が図られていたが、特に画像処理に関する機能強化は、多くのフォトグラファーにとって「かゆいところに手が届いた」アップデートという印象を受けた。撮った写真をゲッティ イメージズで販売したり、写真共有サイト500pixなどに投稿したりして楽しんでいる筆者が個人的に嬉しかったのは、「HDR写真の結合」と「フィルターブラシ」のふたつの機能だ。

ストックフォトサービス「500pix」ではHDRと思われる写真に人気が集まる傾向があるが、その素材となる写真(異なる露出で撮影された複数の写真)を用意するためには三脚に据えて撮る必要があった。ほとんど三脚を使わない筆者は、素材を準備する段階で断念、もっと言えば毛嫌いしていた。だが、「HDR写真の結合」の「自動整列」オプションを使えば、アングルが多少ズレていても自動調整してくれるので、手持ち撮影の写真もHDRの素材として活用できる。これなら今後は、HDR写真にも手軽にチャレンジできそうだ。

一方、Lightroomで緻密な現像作業を行っているユーザーは「フィルターブラシ」の搭載を喜んでいるのではないだろうか。「段階フィルター」や「円形フィルター」はとても便利なツールでありながら、選択範囲を細かく指定できないため、除外したい被写体にまでも調整が適用されるという弱点があった。今回新たに搭載された「フィルターブラシ」の登場により、「段階フィルター」や「円形フィルター」が劇的に使いやすくなったことを実感した。

上記の通りプロユーザーのための機能強化も強力だが、顔認識機能をはじめ、写真を楽しむ多くの人に響くであろう機能も追加されたLightroom CC/6。30日間無料で使える無料体験版も用意されているので、新たな機能をぜひ一度体感してみてほしい。