富士通 執行役員取締役常務 ユビキタスプロダクトビジネスグループ長の齋藤邦彰氏。IoT時代における自社の強みを、「専門となるユビキタス研究所の設置をはじめ、セキュリティやシステムの提供で古くから取り組んで来た」とし、ビッグデータの解析や意味情報への変換などに一日の長があるとした

「ユビキタスウェア」の発表に際し、富士通 執行役員取締役常務 ユビキタスプロダクトビジネスグループ長の齋藤邦彰氏が、同社ユビキタス事業の取り組みを説明した。

今回発表された「ユビキタスウェア」とは、BLEタグであるビーコン機能に加え、各種センサーからのデータを取得・分析するIoTパッケージ。運動強度の測定や姿勢検知、転倒検知、測位・軌跡データの取得、熱環境や身体負荷レベルの検知などが行えるようになる。

加速度や気圧、地磁気、ジャイロ、マイクなどのユビキタス製品で活用してきたさまざまなセンサーと、センサーを制御・分析するマイコン、BLE対応の無線通信機能を組み合わせたコアモジュール、クラウド側でデータを学習・分析するプラットフォームを利用できる専用ミドルウェアで構成され、これらの組み合わせを、既存の機器やシステムに組み込めるモジュール・ミドルウェアとして提供する。

ビッグデータを意味情報に - 「人」を中心としたIoT

齋藤氏は、IoT分野における同社の取り組みについて、「人の役に立つ。人を幸せにする。これが究極な目標」と紹介した。同社は、2020年のネットワーク接続デバイスは現在の約3倍となる500億個、データ総量は約10倍となる40ゼタバイトに上ると想定。

IoTで重要なセンシングデータやビッグデータの活用は、企業側からみると導入に課題が残るとする。

同社は、膨大なデータ量、データの安全性(セキュリティ)、システムが横展開しにくい業種の多様さを、IoTシステム導入の阻害要因と想定。この解決として、膨大なデータ量に関しては、意味情報への変換によって、一般企業でも取り扱いやすい状態で活用支援を行っていく。また、データのセキュリティについては、同社が培ってきた静脈認証や指紋センサーなど生体認証による本人認証システムの提供で対応。業種の多様さについては、必要な部品をパッケージ化し多様な通信手段に対応することで解決を図る。これらを実現したのが、今回の発表された「ユビキタスウェア」となる。

「ユビキタスウェア」の価格は未定。ヘッドマウントディスプレイについては、単体で使えるものではなく、バックグランドで設定するシステムやミドルウェアなども含め、商談の際に決定する。その他12月提供のものに関しては、1カ月前の11月頃に決まる見込み。高齢者向け遠隔見守りステーションや、ペット向け見守りステーションなど、個人向け販売が見込まれるものについては、システム面や搭載技術も含め、一般提供のものより若干高くなる想定という。

具体的な売り上げ目標数値は非公表。リードタイムや12月発売のものもあり、「PCのやスマホと違い売り切り形ではない、業種ごとにシステムやハードの割合が異なってくる。2015年の売り上げは少ない。実際の売り上げは2016年から上がる」とコメントした。