ホログラフィックコンピューティングは未来感たっぷり

1月に開催されたプレスイベントで発表され注目された「Windows HoloLens」にも、長い時間を割り当ててデモンストレーションが行われた。1月のデモでは何もないところにオブジェクトを表示して操作する程度のデモだったが、今回は実際にウィンドウを動かしたり、IoTと連動して動作する様を紹介するなど、開発が順調に進んでいることをうかがわせた。

ビデオ再生中のウィンドウを「掴んで」広い場所まで歩いて運び、広い壁に「貼り付けて」「拡大する」ところまでをジェスチャーで実施した。この機能だけでも今すぐ欲しいユーザーは多いはず

無骨なロボットに仮想のスキンが重ねて表示されるだけでなく、ユーザーが指さした場所に仮想のピンを立て、ピンを辿って移動する。移動中に障害物があるとリルートして移動し直すなど、現実とリンクした挙動が可能

ホログラフィック表示用にバイザー型PCが必要であり、たとえば日常生活でこれをつけたまま歩くのか? という問題は残るが、一方で見た目の楽しさやインパクトの強さ、分野によっては実用性の高さが伺える。身につけるデバイスというだけでウェアラブル機器と同じ土俵で語っていいかどうかは迷うが、Apple WatchやGoogle Glassと比べても、未来感の高さは段違いに上回る。使ってみたいと思わせる点においては圧勝といってもいいだろう。

製品化は当分先になるだろうが、個人的には大変期待が持てるガジェットだ。最近のマイクロソフトは、「楽しそうな未来を感じさせる」という点で以前のアップルのお株を奪うような勢いがある。ぜひ勢いだけでなく、素晴らしい製品としてしっかりと結実させてほしいものだ。

全体としては開発者向け会議にふさわしく、開発者の士気を高めるような濃厚な発表内容だった。ここしばらく元気がなかったマイクロソフトが、サティア・ナデラCEOの指揮のもと、急速に勢いを盛り返してきているように感じられる。モバイルプラットフォームでの巻き返しについても具体的な方策が明らかになったことで、一定の評価が与えられそうだ。ターゲットとなったアップルやグーグルの出方も含め、今後の展開にますます注目したい。