毎年、現地での取材レポートをお届けしている時計と宝飾の祭典「BASELWORLD」。今年のわれわれには、BASELWORLDとは別に課せられた極秘任務が実はあったのだ。それは、世界各地で時計の時刻合わせをしながらの世界一周。しかも、各地でのメイン企画はノープラン。この世知辛いご時世に、そんな壮大かつテキトーな企画が果たして成立するのか!?
前代未聞! 10日間世界一周(うち3.5日間はBASELWORLD取材)!!
「今年のバーゼル取材の帰り、他の国を回って帰ってくるってのもいいなと思っているんですよ」
今思えば、そんなことをマイナビニュース編集部でつい、ぽろっと言ってしまったのが間違いだったのだ。担当編集者のH氏はそれを耳ざとく聞きつけて言った。
H氏「いいですね、それ。どうせなら仕事にしましょうよ。世界のファストフード食べ比べとか、記事にしましょうよ!」
ははは、そうですね。仕事になってくれたら色々助かるなぁ、と口では言いながら、内心では(やだよ。仕事じゃなくて休暇で行きたいんだよ!)と思っていた。また、いくらマイナビニュースとはいえ、そんな「~と思ってる」レベルの思い付き話が、そうそう仕事になるわけがない。
…が、甘かった。
編集H氏はこの話をみるみる現実にしてしまったのだ。しかも、企画はいつの間にか「世界一周」という仰々しいものとなった。なにゆえ世界一周!?
H氏「世界各地のタイムゾーンで、時計の時刻を実際に合わせてみようというサブ企画を付けました。これでビジネスになりますよ」(ドヤ顔)
「カシオから借りてる時計が2本、手元にあるんですよ」(H氏)と、GPSハイブリッド電波ソーラー時計「OCEANUS OCW-G1000」と、スマホ連携できる「EDIFICE EQB-510」まで持ち出してきた。
やれやれ、デキる男もこんなときは困りものだ。しかし、それを後で記事にするんですよね。各地で時計の時刻を合わせるだけでは、記事にならないでしょう?
H氏「えぇ、これはあくまでもサブ企画。メインとしては、私と青木さんで"現地で何か面白いこと"をしてこい、というのが編集部の意向です。時刻合わせは、そのついでということで(これはこれで自分もけっこう辛いんですよ)」
「現地で」「何か面白いこと」「ついでに」。これほど無責任な響きを持つ言葉を私は他に知らない。
しかし実は、こと無責任さでは一歩もひけをとらない私だ。それからの数日も日々の仕事に追われ「世界一周の件、どうすりゃいいの」という不安を抱えながらも見ぬふりをしたまま、あっという間に出発当日を迎えてしまった。