「競争」から「協創」へ
中期目標に向けた新たな取り組みとしては、通信事業者としてのドコモのネットワークをスマートライフ領域のさまざまなパートナー企業と協力して活用することで、新たな付加価値を協力して創造する「協創」をテーマに掲げ、顧客獲得競争から脱却し、より長く使ってもらうことで顧客に価値を提供するように取り組んでいくとした。
こうした取り組み全体を「+d」と名付け、ドコモがこれまで展開してきたポイントや会員プログラムといったサービスも「d」の名の下にブランド統一して展開するとともに、IoTの拡大やICTによる健康/医療、教育/学習、農業といった分野においてもパートナー企業と協力して社会価値の協創に励み、2020年を見据えた新たなビジネスの創出を目指していくとした。
最後に、ブランドスローガンを「手のひらに、明日を乗せて。」から「いつか、あたりまえになるために。」に変更。新しい仕組みが簡単で当たり前に使えるようにすることがイノベーションであると定義づけ、ドコモの提供する新しいサービスが、誰もが当たり前に使えるような日を目指し、イノベーションに積極的に挑み続けたいとした。
質疑応答では中期目標に向けた取り組みに質問が集中したが、いずれも現在進行中ということで、後日改めて発表があるということで、具体的な方策等については語られなかった。発表内容全体としては、単なる契約者数競争から足を洗い、サービス事業へと軸足を移したいという思いが強く伝わってくる。
特にdポイント(旧ドコモポイント)のオープン化は、auのau WALLETやソフトバンクのTポイントなどの他社ポイントサービスと直接競合し、顧客の囲い込みと同時に他業種への影響力も見据えた方策だ。そういう意味では、楽天やCCCなど、自社ポイントサービスを持つ企業がMVNOで囲い込みを狙っているのと同じ道を歩んでいるとも言え、ただの土管屋にはなるまいとする強い思いが感じられる。巨大MVNO事業者との関係性なども含め、興味深い方向性が提示されたと言っていいだろう。
なお、質疑応答ではSIMロック解除やフィーチャーフォンの将来についても言及があったが、その件に関しては稿を改めてお伝えする。