深夜のワンオペ解消へ
前回の記者会見で指摘された深夜の1人勤務体制(ワンオペ)については、2014年10月に、深夜時間を複数勤務体制にすることで労働環境を大幅に改善。複数勤務体制が確立できなかった1,254店舗(全店舗の約6割/当時)は深夜営業を休止した。なお、2015年3月時点では、人材が確保できた638店舗(2014年10月の深夜時間帯営業休止1,254店舗の50.9%)が深夜営業を再開している。
深夜ワンオペの対応について、委員会は、「一時的にせよ企業利益を損ねることがわかっていながら、従業員がそろわない店舗に関して深夜時間帯の営業を停止した判断は評価することができる」とコメント。ただし、「深夜営業を再開する際、これまでと同様に1人勤務体制に戻る恐れがないかについては、例えば内部相談制度の活用などで、継続的なチェックの仕組みが必要となる」と警鐘を鳴らした。
「学生クルーを支援する取り組みを」
早稲田大学学事顧問で委員会委員長の白井克彦氏は、「労務環境については、一定程度の改善が示された。しかしながら、そのデータの信頼性をチェックする仕組みが必要であるし、残業時間の改善も、十分であるとは言い難い」とコメント。さらに、同社で働く学生クルーについて、次のように述べた。
「近年、親が負担する学生の学費や生活費は減少が著しく、学生のアルバイト収入は極めて重要なものとなっている。学生がすき家のクルーの6割程度を占めることを考えると、学生クルーを単純に安価な労働力の提供者としてだけ見るのではなく、学生のより有益な学習を支援する補助的な取り組みや、様々な立場にある主婦のそれぞれにターゲットを絞った、より柔軟な働き方を提案し、日本における業界のリーディングカンパニーとして、他の企業をリードするようなワーキングモデルの確立をしていくことが、日本代表として世界に提案をするためには不可欠である」(白井氏)
興津社長「信頼回復に向け全力」
同委員会からの報告書を受け、すき家本部 代表取締役社長 興津龍太郎氏は「委員会からの評価、提言を真剣に受けとめ、今後、重要な経営課題としてグループ職場環境改善改革推進室とも連携し、再発防止と信頼回復に向けて全力を傾けてまいります」と決意を述べた。
また、ゼンショーホールディングス 代表取締役会長兼社長兼 CEO 小川賢太郎氏は厳しい意見も多く、大きな勉強となったと振り返った。その上で、「経営には終わりがない。従業員と社会に支持される会社を目指し、昨日よりも今日、今日よりも明日と良い組織にしようと改善に取り組んできた。これを契機に従業員とともにより良い会社づくりを目指し、『世界から飢餓と貧困を撲滅する』という経営理念の実現を図っていきたい」と語り、会見を締めくくった。