Microsoftが生体認証の標準化団体である「FIDO Alliance」に参加したのは記憶に新しいが、その成果はWindows 10で確認できそうだ。MicrosoftはWindows 10に「Windows Hello」という生体認証によるサインインシステムを導入する。
顔や瞳でWindows 10にサインイン可能に
OSG担当CVPのJoe Belfiore氏は「Windows Helloは顔や眼球の虹彩、指紋を使ってデバイスをアンロックできる」と説明する。この発表に合わせてMicrosoftは、IntelのRealSense 3Dカメラで眼球の虹彩を読み取り、従来のPINコードや指紋認証と同じようにロック画面を解除する動画を公開した。今後ビジネス用途向けノートPCなどにRealSense 3Dカメラが組み込まれれば、よりセキュアなサインインが可能になるだろう。
認証システムはWindows 10のサインインだけではなく、エンタープライズコンテンツやオンラインコンテンツへのサインインにも用いられる。それが「Microsoft Passport」。Microsoftの歴史に詳しい方ならMicrosoftアカウントの基盤となったSSO(シングルサインオン)システムを連想するだろうが、似て非なるものだ。
MicrosoftはWindows Helloの技術基盤として、Windows Securityチームと「NGC(Next Gen Credentials:次世代認証)」を共同開発している。NGCは430万以上のテストケースを組み合わせた機械学習結果を用いて、99.1%の判定が可能だという。MicrosoftはWindows Hello、Microsoft Passportの基板となるNGCをWindows生体認証フレームワークと統合させるつもりなのだろう。
システムファイルの圧縮等で6.6GBの空き容量を確保
Windows 10で注目したいのが、システムフォルダーにおける占有容量の削減だ。たとえば、Windows 8.1のスタンダードな環境のシステムフォルダーは約8.5GB。とてもコンパクトとはいい難い。加えて「One Windows」のかけ声と、タブレット上での利用を踏まえ、Microsoftはシステムファイルの圧縮ロジックを加えることを明らかにした。
開発チームは「システムフォルダーの圧縮」と「リカバリーイメージの廃止」という2つのアプローチにより、最大で45%の削減を達成。32ビット版で1.5GB、64ビット版で2.6GBの削減に成功したと説明している。
ファイルシステムの圧縮や特定フォルダーの圧縮といったアプローチは、以前から用いられてきたポピュラーな手法だが、パフォーマンスの低下というデメリットが存在するため、活用しているユーザーは多くない。そのため本機能もすべての環境に適用せず、Windows 10へアップグレードする際にユーザーが選択する方式をとるようだ(プリインストールPCの場合はベンダーが機能の有無を選択)。
リカバリーイメージの廃止は、システムリフレッシュを前提としたWindows 8.xと真逆の手法に見えるだろう。もちろん単純に廃止するのではなく、ランタイムシステムファイルを用いてWindows 10のファイル群をリセットするという方法を用意した。さらに単なるリセットでは追いつかないほどファイルの破損が激しい場合は、ユーザーが独自のリカバリーイメージを作成するという選択肢も用意している。これらの結果、4~12GBの空き容量確保につながったそうだ。
以上、駆け足でWindows 10に関する情報を整理してみたが、Windows 10は単に"スタートメニューを復活させたWindows 7の後継OS"ではないことが理解できる。PC独自のユーザーエクスペリエンスを提供するWindows 10登場の日は、すぐそこまで来ている。
阿久津良和(Cactus)