LinkedInからわかること

注目の1つは先ほども紹介した同社のLinkedInのプロフィールで、そこには「ハードウェア」企業とカテゴリが記されている。つまりウェアラブルデバイスの開発製造がメインだと想像される。また資金調達以降に急速に企業規模を拡大しているようで、ステルスモード時にはごく小数運営だったものが、現在では50~200人クラスとスタートアップとしてはかなりの規模にまで膨らんでいる。Re/codeTechCrunchなどの一連のレポートから筆者が推察する限り、ベースとなる技術はステルスモードの段階で開発が進み、現在は周辺のアプリケーションやインターフェイス開発を目的とした主にソフトウェア技術を拡充している段階だと考える。

まだ情報は極端に制限

一方で極端に外に出す情報を制限しているのが気になるポイントだ。CEOのRony Abovitz氏が18日にカナダのバンクーバーで公演予定だったTED出演をキャンセルしたほか、Magic Leap関係者とみられる人物らが次々と箝口令を敷かれたように沈黙を行ってしまっている。

おそらく同社最大の秘密とは「AR世界を体験するウェアラブルデバイスの形状と装着方法」そのもので、決まり切ったコンセプトビデオ以外でどうしても触れざるを得ないハードウェアについて、正式発表のその日まで秘密を貫きたいのではないかと想像する。

同社は、Google Glassを事実上断念したGoogleの肝煎りとして同社のバックアップを受けて運営を続けている。またCEOで創業者のRony Abovitz氏の経歴をみると、Z-KATという企業を設立した後にロボティクス技術をスピンオフしたMAKO Surgicalという会社を立ち上げ、技術顧問となっている。その後、Magic Leapの設立となるが、ロボディクスに興味を持つGoogleが何らかの形でAbovitz氏に接触して開発をバックアップしたということも考えられる。ソフトウェアもさることながら、ハードウェアが鍵を握っているというのが、筆者がMagic Leapに抱く感想だ。

このAbovitz氏が今年2月にRedditへと登場し、いくつか読者の質問へと答えたスレッドが話題になっているRe/codeで抜粋が紹介されているが、同氏はスマートフォンやPCなど、現在のデジタルデバイスをMagic Leapが置き換える可能性を指摘している。少なくとも、スマートフォンなどの小型スクリーンを通して行わざるを得なかった作業の数々が、Magic Leapを使えばより自然な形でARの世界で実現可能だというのだろう。