その上、まさか自分がライダースーツを着た状態で顔だけ出すという所謂"メットオフ"状態のシーンもあるなんて……驚きましたよ。本当ですか!?って(笑)。初めて3号のスーツを着た日は、スタジオを出たあと「とにかく一杯飲みにいきたい」、むしろ今夜は一人で飲みたいと(笑)。

――現場には、かつて及川さんが観ていた歴代のライダーたちの姿もあったと思います。

直接見てしまうとはしゃいでしまいますので、車の中からこっそりと、しかもジロジロと見ていました(笑)。

――会見で竹内涼真さんもおっしゃっていましたね。及川さんが現場ではしゃぎっぷりがすごかったと(笑)。今回は主題歌「Who's That Guy」を歌われますが、歴代の仮面ライダーシリーズでお気に入りの主題歌はありますか?

『仮面ライダーX』の主題歌「セタップ!仮面ライダーX」です!「銀の仮面に黒マフラー♪」、メロディーも歌詞もよく覚えていますよ。『X』は怪人の設定がカッコいいんですよ。ギリシャ神話をモチーフにしていて。ネプチューンやアポロガイスト、GOD怪人の名前は今でも鮮烈に覚えています。そういえば、今回は劇場版に仮面ライダーとして出演するわけですが、僕が映画館で観て胸が熱くなった作品は、Xライダーが主演の『五人ライダー対キングダーク』でした。あの映画はもう! 燃えに燃えました! 子供の頃、あの映画を観たワクワクと同じ気持ちを、今の子どもたちに感じてもらえたらうれしいですよね。

仮面ライダー3号ってどんなライダーだろうって、期待して子供たちが映画館に来てくれるなら、こんな立派な仕事はないと思います。だってね、仮面ライダーを観て、いつかライダーになりたいと思っていた子供が、成長して本当にライダーを演じるチャンスを掴むかもしれないんです。そう考えると、今回僕に3号=黒井役が来たのは奇跡のような出演オファーだと思います。人生コツコツやっていると、チャンスがめぐってくるものですね。

――今回、仮面ライダードライブ=泊進ノ介役の竹内さんたちと共演されましたが、現在放送中の「平成ライダー」と呼ばれるライダーシリーズはご覧になっていますか?

はい。全話ではないけど。土曜日に明け方まで飲んで、帰宅して寝るまえに観るというイメージです(笑)。僕が竹内くんと同じくらいの年齢だった頃、まだ平成ライダーはスタートしていなかった。ですから「スーパー戦隊」シリーズのオーディションを受けたこともありました。クールな"青"のポジションを狙ってね(笑)。撮影の待ち時間、火にあたりながら竹内くんと「君は受かった側だよね~。俺、君と同じ年頃にヒーロー役を受けて落ちたんだよ」なんて話していました(笑)。25年くらい前の思い出が脳裏をよぎりましたね。

竹内くんは子供の頃『仮面ライダー電王』(2007年)を観ていたって言ってたかな。(佐藤)健が主演していた作品ですよね。若い俳優さんたちは、撮影の待ち時間などで、皆さん楽しくお喋りしてくださいました。親子ほど年齢差はありますが(笑)、作品にかける情熱っていうのは変わらないんだなと実感しています。

――若い俳優さんたちに、先輩としてのアドバイスなどもされたり?

いえいえ、僕の方がアドバイスをいただきましたよ。仮面ライダーの現場では、演技面でもアクションに面でも、皆さんが撮影に慣れている先輩ですから。下手をすると怪我するぞっていう時に、案外彼らはひょうひょうとこなして、頼もしく演じているんです。特に竹内くんは、素直で気持ちのいい男でしたね。これからも『仮面ライダー』シリーズの出演をきっかけに、若い俳優たちがどんどん伸びていってくれたらいいなと思います。その時は、僕も出演して脇を固めたい(笑)。そう思えるほどいいヤツばかりでした。

――最後に、及川さんのファンの方々に一言お願いします。

ファンの皆さんには、本当に感謝しています。ぜひこの映画で僕の勇姿を見ていただきたい。特に「変身シーン」ですね。今まで僕はステージで、あらゆるコスプレをしてきましたが、今回の仮面ライダー3号は、究極の形です。つまり「本物になってしまう」という(笑)。

俳優として培ってきた僕の持ち味は、黒井響一郎のミステリアスな部分にうまく活かすことができたという自負はあります。エンドロールで自分の歌が流れるということも、本当にうれしい。子供たちはもちろん、今は大人になったかつての子供たち、そして愛するファンの皆さん、たくさんの人に楽しんでほしいです。

――ありがとうございました。映画の大ヒットをお祈りしています!

ありがとうございます。今回写真を撮っていただいたんですけれど、ふと構えた時、自然に指先が「3」の形になっていますよね(笑)。気持ちが仮面ライダー3号に入り込んでいるからだと思います。こういう話をしていると、時々仕事だっていうことを忘れそうになりますけど(笑)。とても楽しかったです。皆さん、映画『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』の公開を楽しみにしていてください!

■プロフィール
及川光博
1969年10月24日生まれ。東京都出身。アーティスト、俳優。舞台演劇俳優、バンド活動を経て、1996年に「モラリティー」で歌手デビュー。"王子"キャラで注目を集めるとともに、演技力にも定評があり、さまざまなドラマ、映画、舞台に出演。愛称はミッチー。代表作はTVドラマ『相棒』『白い巨塔』『半沢直樹』『利家とまつ』『WITH LOVE』など。

2015「スーパーヒーロー大戦 GP」製作委員会
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