HR-S101には再生装置が付属していないため、音源は必ず外部機器に頼ることになる。ステレオミニ端子からアナログ入力も可能だが、主要なソースはデジタル、特にスマートフォンに照準が当てられていると見てよさそうだ。
スマートフォン上の音源を再生する場合、入力経路はBluetoothかUSBということになる。アンプ/センターユニットのAI-101DAは、Bluetooth/A2DPのコーデックとして標準のSBCに加え、AACとaptXをサポートしており、iOSデバイス(SBC/AACに対応)とAndroidデバイス(機種によってはAACとaptXにも対応)のどちらでも良好な条件でワイヤレス再生できる。
USB入力でWindows PCやMacとも接続できるが、サイズ感や取り回しのよさからいうとスマートフォンのほうが好相性に思える。iOSデバイスであればカメラコネクションキットを使えばいいし、Androidも先日リリースされた「ONKYO HF Player」とUSB OTGケーブルを用意するだけだ(AOA 2.0対応の端末が必要)。
Bluetoothで聴いたときの印象だが、CDから取りこんだ無圧縮の同じ曲をiPhone 6とXperia Z Ultra sol24で再生すると、面白いほど音の違いが感じられた。Xperiaのほうが低域のリアリティがあるのだ。ベースの輪郭がぼやけず、バスドラムのキックも鈍らない。音場感や奥行き感もXperiaのほうが上だ。
一方のiPhone 6は、Xperiaと同一条件の楽曲ファイルであるにもかかわらず、一音一音の輪郭とツヤが若干色褪せたようで音場も狭く感じる。Bluetooth/A2DPの符合化手順を考えても、コーデックの違い(iPhone 6がAAC、XperiaがaptX)による音質差は大きいと言わざるをえない。
なお、Bluetooth入力ではアップコンバート機能を利用できないため(USB/光入力時のみ対応)、ワイヤレスを中心に楽しむならばaptX対応のデバイスを用意しておきたい。MacユーザーでもあるAppleファンであれば、iPhoneではなくMacBook AirなどaptX対応のMacとペアリングすれば、AACやSBCとの音の違いを確認できるはずだ。現行モデルのMac miniやMacBook Pro、MacBook AirはaptX対応のチップを搭載している。
より音質を追求するのであれば、USB接続を選ぶことになるだろう。非同期転送によるジッター低減のメリットを得られるうえ、前述したとおりアップコンバート機能を利用できる。有線接続のためBluetoothに比べると使い勝手は低下するが、解像感と音場感は格段に改善される。小粒ながらメリハリある音を出すスピーカーの地力もあるが、ベースやバスドラの印象は一変、ここまで低域の再現力があるのかという発見もあった。
このクラスのコンポが"ハイレゾ対応"を謳うと、そこまでの再生能力があるのかと訝しむ声も耳にするが、本機に関していえば十分満足できる素地があるといえる。壁からある程度離す、インシュレーターを置く、といったスピーカーセッティングを施せばきちんと音で応えてくれる。「HRラウドネス」を有効にすれば、小音量時でも解像感と低音の迫力を損なわずに再生できる。5万円を切るというプライシングも踏まえて、ハイレゾ入門機として好適だ。