日本マイクロソフトの注力ポイント(1) - テンプレートの活用促進
具体的なシナリオを提案する上で、日本マイクロソフトは2つのポイントに力を入れているように感じる。1つはテンプレートの活用促進だ。日本マイクロソフトは「楽しもうOfficeライフ」と呼ぶWebサイトを公開しており、Office用の様々なテンプレートをすべて無償でダウンロードできるようになっている。最も人気なのは年賀状用テンプレート。すでに60万本のダウンロード実績があるという人気テンプレートだ。
次いで多いのが「旅のしおり」。旅行の準備や、旅行から帰ってきてからの写真整理、共有に向いている。そして、3番目がプライスカード。中小の小売店などで、このテンプレートを使った値札作りをしているケースが多いという(ちょっと洒落た値札作りが可能に)。そして家計簿テンプレートは、それに次いで多い人気コンテンツだという。
今回の学生、社会人、ファミリーに向けた計9つの提案でも、それぞれに最適なテンプレートを紹介している。実は、テンプレートの活用提案は、今回のキャンペーンで隠れたポイントになっている。
繰り返しになるが、学生向けには講義の内容をまるごと整理の「講義・復習ノート」、仲間と共同でしおりを作る「グループ旅行しおり」、絵コンテが描ける「4コマ漫画ノート」という3つのテンプレートを紹介。若手ビジネスマン向けには、日々のスケジュール管理やメモの「デジタル手帳」、案内状作り・会場選び・出欠管理などの「幹事用イベント管理ノート」、写真を選ぶだけで映画風のオープニングムービーを作れる「オープニングムービー(ウェディング・スター風)」の3本を推奨。ファミリー向けには、大切な思い出をフォトムービーで残す「フォトムービー(エアメール風)」、スケジュールから旅の軌跡までを管理できる「簡単マイ旅しおり」、子供の成長過程を一冊のフォトブックにできる「フォトブック・アルバム」を提案している。
現在、「楽しもうOfficeライフ」では、2000種類以上のテンプレートを用意。実際に、テンプレートを活用することで、Officeの利便性は一気に高まり、用途を広げることもできる。ぜひ一度使ってみるといいだろう。
日本マイクロソフトの注力ポイント(2) - OneNoteの活用提案
日本マイクロソフトが注力していると思われる2つめのポイントは、OneNoteの活用提案だ。春商戦向けキャンペーンで提案している9つのシナリオを見ると、OneNoteを活用した事例が多くなっている。
OneNoteは、あらゆる種類の情報を取り込み、保存できるデジタルノートアプリだ。新しいOfficeにも標準で搭載されており、ExcelやWordのデータ、手書きデータや録音データなどをひとつのノートで管理、共有できる。さらに、OneNoteを利用する際には、新しいOfficeで提供されるマルチデバイス利用、容量無制限となるOneDriveでの利用を通じて、その利便性が高まることを訴求している。
OneNoteを活用してホワイトボードやプロジェクターに投影された資料を撮影して、簡単に共有できる |
新しいOfficeを活用することで、パソコン、iPad、Android搭載スマートフォンでの情報共有も簡単に |
これまでも日本マイクロソフトは、OneNoteの利用促進を提案し続けてきたが、日本ではそれほど普及していない。「先進的にITを活用する記者が参加しているケースが多い。当社主催の記者会見の場でも、OneNoteを利用している記者やライターは、10人に1人ぐらい。今後数年のうちに、市場全体におけるOneNoteの利用率を5割以上には高めたい」と宗像執行役は語る。
記者会見のような場でも、OneNoteを使って録音し、あとから設定しておいたキーワードで頭出して再生するといった使い方も可能だ。それだけでも利便性は高い。OneNoteを利用することで、情報共有や共同作業という点では、効率化が図られるのは明らかだ。
日本マイクロソフト広報の場合、チーム内での会議ではOneNoteを活用。様々なOfficeアプリで作られた資料を事前に共有するほか、議事録もOneNoteを使って、発言者以外の人が順番にメモ。
WordやExcel、PowerPointのデータのほか、写真、音声、手書き文字などをひとつのページに貼り付けて、会議が終わったときには、議事録が完成し、全員が共有するという使い方をしているという。会議が終わってから、数時間かけて議事録を作成し、そののちに情報を共有するというのに比べると、効率性とスピード感はまったく違う。
今回のキャンペーンでは、テンプレートやOneNoteの具体的な利用は隠れたメッセージだが、これらを活用することで、Officeの利便性は、さらに高まるのは明らかだ。昨年秋の機能訴求、今年春のシナリオ訴求に続いて、次のステップではテンプレートやOneNoteを活用した新たな提案を、もっと前面に打ち出した取り組みにも期待したい。