オフィスに必要な防災グッズは?
次にオフィスに用意しておきたい防災グッズを紹介する。大京グループでは、社員それぞれに防災キットとヘルメットを配布している。内容品は以下のとおり。
・ビスケット 6食分
・LEDライトと単4電池
・保存用飲料水 1本
・マスク 1枚
・アルミ製防寒ブランケット 1枚
・軍手 1組
・非常用トイレ 1組
「防災時の備えを考える上でのポイントは、『衣・食・住』。どのようなものが必要になるかは、人によって大きく異なります。帰宅困難で2~3日間を会社で過ごすことを想定して、自分には何がいるかを考えましょう」(佐々木さん)
女性であればパンプスの代わりとなる歩きやすい靴、化粧落としや生理用品、コンタクトを使用している人は眼鏡や洗浄液、持病がある人は常備薬なども必要となるだろう。「もし自分が会社で震災にあったら何が欲しいか」を考えることがポイントだ。
さらに、佐々木さんによると、会社として備えているものも併せて考えると良いという。
大京グループ 穴吹コミュニティでは、社として飲料水、ラーメン、米、缶詰、毛布、寝袋、ランタン、鍋、コンロ、簡易トイレなどを用意している。これらの品は、自宅と職場が遠く、帰宅が困難な社員(社員の3分の1程度を想定)が2~3日を会社で過ごせる分を基準に備蓄されている。自社が震災に対してどのような備えをしているのか把握しておくことで、本当に自分が必要としているものを効率良く選択することができる。
定期的な訓練も重要
震災を想定した避難訓練も、定期的に実施したい対策の一つ。穴吹コミュニティおよび大京アステージでは、「DROP!(まず低く)」「COVER!(頭を守る)」「HOLD ON!(動かない)」の3ステップ、所要時間1-2分でできる防災訓練「シェイクアウト訓練」を実施。社員それぞれが震災時どう対応すべきかを再確認している。
訓練では座るだけで直下型や海洋型地震の揺れを実感できる「地震ザブトン」の体験会も。社員は震度7を記録した「兵庫県南部地震」や今後起こると言われている「想定南海地震(南海トラフ地震)」のシミュレーションで、揺れの強さや危険性を体験できる。
「天災は忘れた頃にやってくる」ということわざのように、どれだけ甚大な被害を受けても、人の記憶は薄れるもの。突然発生した被害を最小限に食い止めるためには、過去の教訓を元に対策を十分に練っておくことが不可欠だ。「大丈夫だろう」「何とかなるだろう」と楽観視するのではなく、3月11日をきっかけとして、防災について考えなおしてほしい。