ヒートシンク搭載の次期モデルも
m-Stickでは、今後のいくつかの取り組みを計画している。そのひとつが、m-Stickに関する3D CADデータの公開だ。
「このCADデータを活用して、ユーザー自身が筐体を改良できるようになる。たとえば、エネループを搭載するためのケースを独自に作ってもらうというような提案も行いたい」 もちろん筐体を開けた時点でメーカー保証が受けられなくなるといった問題はあるが、そうした前提を超えた提案にも踏み出したいという。
また、新たなBIOSの提供も視野に入れている。これもメーカー保証外となるものの、「熱を気にせずにクロックを最大限まであげることができたり、ターボ・ブーストがかかったままにしてしまうなど、ユーザー自身が自己責任のもと改良を加えれば使えるといったものも提供したい。これによって、新たな使い方を模索してもらえる。パソコンを面白いと思ってもらえる人たちのために提案したい」とする。
クロックの可変については、最も放熱効率が高いように設定しているが、BIOSの変更によって、より尖った使い方が可能になる。公開されるCADデータとの組み合わせで、冷却効果をより高めた仕様にすることで利用するといったことも可能だ。
さらに、m-Stick専用のカバーもオプションで用意したいという。「ある町工場との協業により、例えば素材を変える、デザインを変えるなどで、効率的に放熱できるような仕組みを考えている」。
そして、平井部長は、なんと次期製品の発売にも言及する。「より性能をあげてほしいというユーザー、もっとギーグな使い方をしたいというユーザーに対して、排熱強化版ともいえるヒートシンクを搭載した製品や、冷却ファンを搭載したものも投入したい」早ければ年度内にも、新モデルを発表することになるという。
CPUは現行モデルと同じものを採用するが、クロックの可変度合いの設定や、性能のチューニングは現行モデルとは異なるものになる。また、基板も新たなものを採用する。
重量は、ヒートシンクやファンを搭載したことで当然重たくなる。現行モデルは44gという軽量化を実現しているが、ヒートシンクモデルでは約70gの重量を見込んでいる。
「新たな製品を投入しても、現行モデルも販売を継続する。小型で取り回し、持ち歩きが楽な、スティック型標準モデルとしての現行モデル、廃熱強化の一方で若干重く、大きくなったヒートシンクモデル、さらにファンを搭載して冷却を徹底したモデル、用途や設置環境等によって、モデルを選択してもらうことになる」。価格設定は、現行モデル(税込19,800円)とそれほど差がないものになる予定だ。
その価格戦略は、「ヒートシンク搭載モデルや、ファン搭載モデルは、完全な上位モデルとは位置づけない」という新たな考え方を採用する点にも通じる。「すべてのラインアップを横並びで位置づけ、用途にあわせた選択をしてもらえるようにしたい」。
m-Stickではこうしたユニークな製品戦略も打ち出す。なお、現行モデルにおいても、64GBのeMMCを搭載した新製品を6日から販売開始する。