――柏木先生は多くの生徒に影響を与えます。新垣さんにとっての恩師とは?

高校3年生の時の担任の先生です。女性の英語の先生なんですけど、学年の中では結構ガミガミ言う厳しい先生でした。年齢は…間違ってたら怒られそう(笑)。当時は40代ぐらいだったと思います。

高校に入ってからテレビのお芝居をさせてもらえるようになって、徐々に忙しくなってきた時に、両立が難しくて休むことも多くて。卒業できるかできないかみたいな状況でした。学校に行ったら暗くなるまで、補習というか課題をずっと教室で一人でやってたんですけど、やっぱり寂しい(笑)。

そんな時に、普段はガミガミキャラなのに、すっごく屈託のない笑顔で「新垣~!」って入って来て。それがすっごくホッとするんです。私が課題やっている間は先生も帰れないし、たぶんすごく心配してくれていたんでしょうね。それでもすごく笑顔。そこにいてくれるだけでうれしかったです。卒業が決まったのは、卒業式の2日前ぐらい(笑)。各教科の先生に課題をお願いするのも、その先生がやってくれたんですよ。

――卒業後、その先生と再会しましたか?

再会はしてないかな…映画の試写会に随分前に呼んだことはあるんですけど…。数年に1回はメールくれます。「あれ、観ました」みたいに(笑)。去年は私も電話でお話しました。

――15歳の新垣さんはどんな女の子でしたか。

一生懸命生きていましたよ(笑)。中学1年生からお仕事をはじめて、週末は東京に通って。女子バスケ部のマネージャーもやりました。だから、中学時代はちゃんと学校というものをそれなりに過ごして、15歳は東京に出てくるか出てこないかの狭間で嫌だな思ってた時期。たぶん、中学校がすごく楽しかったからでしょうね。

両立は大変だったのかな…。金曜日に学校が終わると空港へ行き、土日は東京で仕事して、日曜の夜に沖縄に帰って来て月曜は学校。お仕事をはじめてから、毎週末がほぼそんな感じでした。バスケの練習試合も行けなかったので、中途半端なことをして申し訳ないなという気持ちもあって…。人並みに悩んだり、楽しんだりしながら、過ごしていたと思います。

――仲村ナズナ役(生徒)の恒松祐里さんとの共演シーンが多かったですね。合間に接する機会はありましたか。

バーベキューをした時には結構しゃべりました。「夏休みの宿題が…」とかいろいろ言っていたので「どうにかなるよ」とアドバイスしました(笑)。大したこと言ってないですね。ごめんなさい(笑)。でも、「大丈夫」ということしか言えないなと思って。私が彼女の年齢ぐらいの時には、「がんばれ」という言葉があまり好きではなかったんです。やっぱり自分と重ねていたんですね。

――本作では、さまざまな登場人物の「壁を乗り越えていく姿」が描かれています。新垣さんにとってこれまで「壁」を感じたことは?

壁や試練は、多々あります(笑)。新しい作品に入るたびに課題はあります。もちろん今回も臨時教師役だったりピアニストだったり。どの役をやっても、それは「私じゃない」から、いつも初めての経験です。

弁護士役を2回やらせていただいたことがありますが、1回目の弁護士はほとんど弁護士活動していなかったり。職業は同じであろうとそれぞれは違う人。特殊な仕事だったら専門的なことを覚えないといけないですし、それぞれ何か抱えていたり、特別な魅力があったり。そうやって、新しい作品に出会うたびに必ず課題が見つかります。

――そのように感じはじめたのはいつからですか。

最初の方からそういうものだと思っていました。臨み方は変わらないですが、作品を重ねるたびにプレッシャーは増えていきます。それだけ責任感が生まれてきたのは良いことだとは思いますが(笑)。この先何年やっても、それは変わらないことだと思います。

■プロフィール
新垣結衣
1988年6月11日生まれ。沖縄県出身。ローティーン誌『ニコラ』のモデルとして活躍した後、女優業をスタート。『恋するマドリ』(2007年)で映画初主演を果たし、続く主演作『恋空』(07年)が大ヒットを記録した。その後、『ワルボロ』(07年)、『フレフレ少女』(08年)、『ハナミズキ』(10年)、『麒麟の翼~劇場版・新参者~』(12年)、『トワイライト ささらさや』(14年)などに出演。テレビドラマでは、『全開ガール』(11年)で連ドラ初主演を飾り、『空飛ぶ広報室』(13年)、『リーガルハイ』(13年)など話題作への出演が続いている。劇場版『S -最後の警官-』の公開を8月29日に控えている。

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