故・松田直樹選手の思い出を共有するチームのJ1初対決

明治安田生命J1リーグでは、今シーズンから2ステージ制が復活! このことからも、J1には新たな注目カードが生まれる事が予想される。ちなみに、今年初めてJ1へ挑む松本山雅FCとJ1屈指のビッグクラブの横浜F・マリノスは、2011年8月に急性心筋梗塞で倒れ、34歳の若さで急死した松田直樹さんが在籍したチームだ。2011年シーズンに当時JFLだった松本山雅FCへ移籍した松田選手は、チームをJ1へ導く使命を担いながら、口癖のようにこう語っていた。

「横浜F・マリノスと戦いたい。練習試合でもいいからやりたい」。

日本中を涙させた悲報から約4カ月半後の12月17日。J2への昇格を決めていた松本山雅FCは何かに導かれたように天皇杯でJクラブを連破する快進撃を演じ、4回戦で横浜F・マリノスと対戦している。 結果は0対4の完敗。序盤こそ前線からの激しいプレスで横浜F・マリノスを苦しめたが、時間の経過とともに地力の差が顕著になった。最後まで決して手を抜かなかった横浜F・マリノスの猛攻は、翌年から幕を開けるJ2での戦いへ向けて、もっともっと力をつけろというメッセージにも映った。

また、試合後にはさらなるドラマが待っていた。試合後に自軍のサポーターへの挨拶を終え、ロッカールームへ引き揚げようとした横浜F・マリノスの選手たちをキャプテンのMF中村俊輔が呼びとめた。向かった先は、松本山雅FCのサポーターで埋まったゴール裏。横浜F・マリノスの選手たちは一列になって並び、深々と頭を下げたのだ。

相手チームのサポーターに挨拶する光景は、サッカー界では極めて異例のことだ。誰からも愛された松田選手の思い出を共有する両チームだからこそ生まれたこの印象深いシーンは、サポーターの目頭を熱くしていた。

「経験」の横浜F・マリノスと「ハードワーク」の松本山雅FC

あれから約3年半。走れない選手は使わない、という方針を掲げる反町康治監督に鍛えられ、屈指のハードワーク集団へ変貌を遂げた松本山雅FCは約束の場所へたどりつき、フランス人のエリク・モンバエルツ新監督のもと、7位に終わった昨シーズンからの捲土重来を期す横浜F・マリノスと対じする。

横浜F・マリノスの最大の武器は、昨シーズンのリーグ最少失点を誇った堅守、中澤佑二と栗原勇蔵の元日本代表コンビだ。同コンビが組むセンターバックは、他チームの攻撃陣の脅威となると同時に、円熟の境地に達した司令塔・中村がふるうタクトにより、24歳の齋藤学をはじめとするアタッカーも躍動するはずだ。

創成期からJリーグに名を連ね、3度のリーグ優勝を誇る名門の壁は確かに厚いかもしれない。しかし、松田選手の生き様はかつて横浜F・マリノスでともにプレーし、昨シーズンから松本山雅FCで松田選手が背負った『3』番を託されたDF田中隼磨を介して、J1の舞台で戦うための羅針盤として伝わっているだろう。 また、自他ともに認める負けず嫌いだった松田選手は、生前にこんな武勇伝を語っていたようだ。

「アトランタ・オリンピックでブラジル代表に勝った時もそうでしたけど、相手にビビったり、相手に名前負けして試合に臨んだことは一度もないですね」。

そんな松田選手の熱い思いを背負い、「失うものはなにもない」と言わんばかりに、全身全霊で横浜F・マリノスに体当たりしてくるのが松本山雅FCだ。ちなみに、J1におけるこの注目の初対決をうらなう前哨戦が、2月21日(土)に生中継される「Jリーグ・スカパー!ニューイヤーマッチ 横浜F・マリノス×松本山雅FC」だ。

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5月23日(土)に松本山雅FCの、11月22日(日)には横浜F・マリノスのホームでそれぞれ組まれているリーグ戦の行方をうらなう上でも、開幕2週間前の日産スタジアムでの一戦は見逃せない。また、志半ばでこの世を去った松田選手の悲劇を繰り返さない為の決意を込めて、この一戦は「AED普及マッチ」と銘打たれているのにも注目したい。

いかがだっただろうか? なお、「プロ野球セットpresents オープン戦中継ザップ」は、オープン戦が開幕する2月21日(土)、22日(日)の両日に(※放送は両日ともに午後0:50~午後4:00、21日はBSスカパー!、22日はスカチャン1にて放送)、スカパー!の各チャンネルで放送されるオープン戦をゲストとともにザッピングしながら紹介される。

一方、「Jリーグ・スカパー! ニューイヤーマッチ 横浜F・マリノス×松本山雅FC」は、2月21日(土)に生中継(※ライブでの放送時間は午後1:50から、スカチャン0にて放送)されるので、スカパー!でプロ野球と明治安田生命Jリーグの最新情報を先取りしよう!