横行する児童ポルノを抑止する「PhotoDNA」
DCUの活動におけるもう1つのポイントが、PhotoDNAである。児童ポルノに敏感な欧米を拠点にするMicrosoftは、悪意を持った写真を見つけ出し、その情報を分析した結果をハッシュ化して、画像加工した写真すら見つけ出す技術を開発した。このデモンストレーションに関しては、日本マイクロソフト テクノロジーセンター所長の澤円氏の解説を引用しよう。
「PhotoDNA」の概要。オンライン上の児童ポルノ画像をハッシュ化し、違法な取引を見つけ出す技術だ。MicrosoftからNCMEC(National Center for Missing & Exploited Children)へ通知した結果、2014年は58件の犯罪者を検挙したという |
Microsoftによれば、18歳未満の5人中1人の女子、10人中1人の男子は児童ポルノによる性的虐待を受けている状態にあるという。さらに、1分間で500枚以上という児童ポルノ画像の取り引きがオンライン上で発生しているそうだ。現在、ネット上にアップロードされる写真の数は18億万枚/日(写真全体。写真の内容は問わず)。この中から児童ポルノ写真を見つけ出すのは、困難以外の何物でもない。
そこで必要になるのが、PhotoDNAというソリューションだ。このハッシュ生成についてMicrosoftは、「指紋と同じようにユニークなデジタル署名(=ハッシュ)を作成する」と説明している。澤氏はこのロジックを、「写真を(いくつにも)分割し、それぞれのデータ配列をDNA化する。そのため1部分でもカット、加工しても、PhotoDNAは変わらないため検出可能になる」と語った。既にPhotoDNAは、FacebookやTwitter、Googleなど50以上の組織に無償提供し、各社は自社サービスが児童ポルノの温床になっていないか調査しているという。