かゆい所に手が届く親切設計のベーシックミドルタワー

今回紹介している「MDV-GZ7550X」は、マウスコンピューターのミドルレンジに位置するデスクトップPCだ。艶消しブラックのフロントパネルに、クールで視認しやすいLEDを搭載したオリジナルケースは評判が高い。フロントパネルの吸気口は左右と下部に設けられているが、標準ではファンが取り付けられていない。ファンを追加した場合でも、風切り音を押さえた運用ができそうだ。電源ユニットはボトム配置を採用しており、ケースの重心を安定させて倒れにくくしてくれるほか、CPUやグラフィックスカードからの熱によって、電源が劣化してしまうのを防いでくれるだろう。左側面のパネルには通気用のエアホールが設けられている。ちょうどグラフィックスカードの位置となり、うっすらと「msi GTX 960」のロゴが見える。なお右側面パネルを開けると、CPUクーラー脱着を簡便にしてくれるメンテナンスホールも確認できる。自己責任とはなるが、CPUやCPUファンを交換したいときに便利だろう。

反射が気にならない艶消しブラック加工のフロントパネル。ほこりや指紋が付きにくく、その評判は高い

ケース背面を見ると、無駄なくパーツを配置できるケース設計であることがわかる。電源はボトム配置だ

左側面パネルのグラフィックスカードの真横には、通気用のエアホールを備えており、うっすらとロゴが確認できる

左側面パネルを開けたところ。ケーブルはケース中央部で束ねられており、ケース内はすっきりしている

フロントパネルを詳しく見ていくと、電源ボタンは前面ではなく天面に配置されていることがわかる。ミドルタワー型PCは机の下に設置されることが多いため、こちらのほうが押しやすいという配慮だろう。前面インタフェースは中央部にまとめられており、マイク入力、ヘッドフォン出力、USB 3.0×2のほか、microSDを直接挿入できるマルチカードリーダーを最初から搭載。別途カードリーダーを設置しなくても、すっきりとした外観のままFlashメモリが読み書きできる。電源およびアクセスランプもこの位置だ。青と紫のLEDが一段低く目に入りにくい位置で光るため、わかりやすく目障りにもならない。

机の下にPCを設置することを想定し、電源ボタンは前面パネルの天面に配置。椅子に座ったままでも押しやすい

USB 3.0やオーディオ端子、カードリーダーはフロント中央部に搭載。LEDの光は直接目に入らないよう、一段掘り下げた位置に取り付けられている

背面のI/Oパネルの構成は、USB 2.0×2、USB 3.0×4、PS/2ポート、Realtek製のコントローラを採用したギガビットLAN端子、HDオーディオと必要な端子を取りそろえている。CPU内蔵グラフィックス用の映像出力用端子もDVI-D、VGA、DisplayPortと3系統用意されているが、グラフィックスカードを標準搭載しており使用しないため、間違って接続しないようプラスチック製のカバーが取り付けられている。グラフィックスカードのDVI端子以外にもカバーが取り付けられているが、こちらは使用可能。HDMIやDisplayPortを使用する際は、赤いカバーを外してケーブルを接続しよう、

各種端子が過不足なく取りそろえられたバックパネルの様子。グラフィックスカードの端子にもカバーが付いているが、こちらは使用時に取り外そう

電源は500W、80PLUS SILVER認証がうれしい

続いて内部を確認しよう。マザーボードはMSI製となっており、型番は「Z97-S01」。Webページには記載のないモデルで、おそらくはBTOメーカーに供給される専用モデルだろう。インテルのチップセット「Z97 Express」を採用しており、拡張スロットの構成はPCI-Express×16が2基、×1が4基となっており、ボード上は非常にすっきりとしている。またM.2スロットも確認できるため、BTOカスタマイズで「PLEXTOR M6e M.2 SSD」などを選べば、SATA接続のSSDを大きく超えるアクセス速度が実現できる。ストレージはHDD 1台のシンプルな構成。3.5インチケージは、ワンタッチHDDホルダによる脱着式となっており、ドライバなどの工具を使わなくても作業ができる。ストレージを追加したいときも、簡単に取り付けられるだろう。電源は自社製品からOEMまで幅広く対応する老舗メーカーFSPの製品で、容量は500W。省電力プログラム「80PLUS」のSILVER認証を取得しており、本機の消費電力の低さを支えている。

マザーボードはMSI製となり、市販されていない「Z97-S01」という型番が確認できる。拡張スロットはすべてPCI-Expressだ

9シリーズチップセットで新たにサポートされたM.2コネクタ。SSDをPCI-Express接続することで、SATA接続の帯域の壁を超えることができる

3.5インチベイにはHDD 1台を搭載。HDDホルダによる脱着式のストレージケージを採用しており、工具を使用せずとも簡単に取り付け可能

台湾の老舗電源メーカーFSPの80PLUS SILVER認証電源。容量は500Wと控えめだが、GeForce GTX 960ならまだ余裕だ

メモリはADATA製のDDR3L-1600を16GB(8GB×2)搭載している。64ビットOSを使う想定でも十分余裕があるため、ゲームはもちろんのこと、高解像度の動画や写真を扱ってもメモリ不足で困ることはまずないだろう。また標準の1.5Vよりも低い1.35Vという電圧で動作するため、わずかではあるが消費電力の軽減効果もある。ストレージにはSeagate製の2TB HDD(標準では1TBだが、試用機では2TB【+3,900円・税別】が搭載されていた)。ミドルレンジ製品を選ぶ場合、SSDまで予算を回せない可能性は十分あるが、できればSSDは追加したい。

ADATA製のDDR3L-1600 8GBメモリを2枚、計16GBを搭載している。1.35Vで動作するため、通常の1.5V製品よりも省電力だ

ストレージとしてSeagate製の2TB HDD 1台が搭載されている。SSDの価格は下がり続けているため、可能であればSSDの追加を考えたい

CrystalDiskMarkによるSeagate製2TB HDDのベンチマーク結果

PC全体の性能を総合ベンチマークで確認しよう

ここまでグラフィックスカード中心に見てきたので、最後にWindowsの総合的な性能をベンチマークでチェックしておこう。Windowsシステム評価ツール「WinSAT」にて計測した「Windows エクスペリエンス インデックス スコア」の結果はプロセッサ・メモリが「8.4」、グラフィックス2項目は「8.3」。ミドルレンジのグラフィックスカードでは、グラフィックスのスコアはCore i7を超えられないようだ。「PCMark8 Home accelerated」の結果は、むしろ非常に優秀だ。Casual Gamingの値が高く、そのほかの数値も全体的に高い。強烈な負荷がかからなければ、GeForce GTX 960はすこぶる優秀なグラフィックスカードといえそうだ。

Windowsエクスペリエンス インデックス スコア
プロセッサ 8.4
メモリ 8.4
グラフィックス 8.3
ゲーム用グラフィックス 8.3
プライマリディスク 5.9
PCMark8 Home accelerated 3.0
Your Home accelerated 3.0 Score 4625
Web Browsing - JunglePin 0.306 s
Web Browsing - Amazonia 0.130 s
Writing 5.63 s
Photo Editing v2 0.136 s
Video Chat v2 / Video Chat playback 1 v2 30.0 fps
Video Chat v2 / Video Chat encoding v2 33.0 ms
Casual Gaming 105.0 fps
Benchmark duration 35min 17s

フルHDまでの現実的な解像度で、消費電力を抑えながら高性能を実現

第2世代MaxwellコアのメインストリームとなるGeForce GTX 960は、GTX 980/970が見せてくれた圧倒的なワットパフォーマンスを引き継いだ製品だ。実際の消費電力に対しての性能という面では及ばないものの、やはり絶対的な電力の低さは魅力となる。6pinのPCI-Express補助電源コネクタ1系統のみで動作し、500W電源でも余裕があるという点はインパクトが強い。それでいてGTX 770に匹敵するパフォーマンスを実現しているのだ。ただし、フルHDを超える高解像度で、ビデオメモリを酷使するようになると少々弱い所が見える。この点を踏まえると、GeForce GTX 960搭載モデルは、フルHDまでの解像度で利用するのが一番パフォーマンスを発揮できる使い方ではないだろうか。1920×1080は、現在、最も一般的な解像度であるため、3Dゲームなども当分はこれを基準に制作されることは間違いなく、コストパフォーマンスの高さは確実だ。そんな現実的なベストバランスを実現した「MDV-GZ7550X」ならば、ゲームはもちろん、ほかの用途でもしっかりした性能を発揮してくれることだろう。

※ここで紹介した各パーツは、今回試用した機種のものです。出荷時にメーカー、型番などが変わる可能性もあります。ご了承ください。

標準スペック

メーカー マウスコンピューター
型番 MDV-GZ7550X
CPU インテル Core i7-4790
メモリ 16GB PC3-12800 DDR3
HDD 1TB SerialATAIII
チップセット インテル Z97 Express
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
グラフィックス NVIDIA GeForce GTX 960
OS Windows 8.1 Update 64ビット
LAN ギガビット(10/100/1000)LAN
インタフェース USB 3.0×6(前面×2、背面×4)、USB 2.0×2(背面×2)
サイズ W190×D490×H410mm
ディスプレイ
価格 119,800円(税別)

上記スペックは、あくまで構成の一例だ。BTOを駆使して、ぜひ自分好みの一台を作ってみてほしい。

価格・構成については、2015/2/12(記事作成日)現在の情報です。最新情報についてはマウスコンピューターのサイトにてご確認ください。