インテル製SoCはx86アーキテクチャ

スマートフォン/タブレット用SoCの中で、唯一ARMアーキテクチャを採用していないのがインテルだ。同社のパソコン向けプロセッサ「Core」シリーズと同様に「x86」アーキテクチャを採用した「Atom」シリーズをモバイル向けSoCとして販売している。通常、プロセッサのアーキテクチャが違えばOSやアプリは動作しないのだが、インテルはGoogleと協力してx86向けAndroidにはARM用アプリを動かす「バイナリートランスレータ」という仕組みを組み込んでおり、Android向けのアプリはほぼそのまま動作するので、互換性については気にしなくていい。

ちなみに、インテルはARMのライセンスを所有し、「StrongARM」や「Xscale」というARM互換プロセッサを開発/販売していたこともある。StrongARMの最初の採用製品が、アップルの初代PDA製品である「Newton MessagePad」だったのは、現在のiPhoneの隆盛を考えると、なんとも皮肉な状況だともいえる。

最新世代のAtomとなる「Cherry Trail」シリーズの出荷は今月開始されたばかり。Cherry Trailはパソコン向けの最新プロセッサ「Core M」シリーズと同じ14nmプロセスを用いて製造され、インテル製としては初めてモデムを内蔵する。もちろん64bit対応だ。

Atomシリーズはこれまで、Windowsタブレットや一部のAndroidタブレットに採用されてきたが、ASUSが充実したスペックながら、米国市場向けにSIMフリーモデルが199ドルと格安のスマートフォン「ZenFone 2」を発表しており、今後はスマートフォン市場へも徐々に浸透していくことになりそうだ。また同社は「SoFIA」という、Atomプロセッサや3Gモデムを内蔵しており、メモリとストレージを足すだけでスマートフォンを製造できるエントリー向けの安価なSoCを発表しており、今後は新興国市場でも徐々に影響力が高まることになりそうだ。特に今年後半に登場予定のWindows Phone 10とAtom/SoFIAの組み合わせは、ともに市場での影響力を広げたいマイクロソフトとインテルの思惑が噛み合うだけに、要注目だろう。