残る2社のうち、ソフトバンクテレコムは光ファイバー網を中心とした固定通信事業を、ソフトバンクBBはADSLおよびNTTのフレッツ光を利用した「Yahoo!BB」ブランドのブロードバンド事業を展開しているが、ソフトバンクBBはDSLサービスの解約が進むなどして、収益性はピーク時の半分以下にまで落ち込んでいる。ソフトバンクグループの固定通信事業自体が減収・減益傾向にあり、この2社も合わせて統合することで経営資源を集中し、効率を高める狙いがあるのだろう。

中曽根内閣で実施された電電公社民営化後の日本の通信事業の歴史は、通信の自由化と規制緩和に伴う新規事業者の参入と撤退・合併・買収の繰り返しだった。最初の通信事業民営化に伴って成立した日本テレコムの流れをくみ、数々の社名変更や合併を繰り返してきたソフトバンクテレコムおよびソフトバンクモバイル(=ツーカー/J-PHONE)、ワイモバイル(=イー・アクセス)、そして第二電電(DDI)の傘下だったウィルコム(=DDIポケット)が、結局一社に統合されるというのは、見方によっては皮肉という気もする。

また、通信事業を統括する総務省は競争政策をとっているが、今回の合併によって減少した事業者数を再び増やす方向に動くのか、あるいは政策を曲げていくのかという点にも注目したい。