S1、Force Touch、Taptic Engine

次のテーマは、S1、Force Touch、Taptic Engineの3つだ。すなわち、Apple Watchの中で注目している技術である。

S1は数世代前のスマートフォンの構成要素を1つのパッケージの中に収めて、時計の中に封入したようなものだ。Appleは"System in Package(SiP)"と呼んでおり、Bluetooth・Wi-Fiの無線チップまで確認されている。このチップの発展は、現在の「スマートフォンが中心」のモバイル産業を塗り替える可能性を秘めている。

Apple Watchに搭載されるS1チップ

またForce Touchは、マルチタッチディスプレイに「押し込む」という新しい要素を加えるインターフェイスだ。タッチパネルに十分慣れてきたタイミングで新しい動作を加えることになるが、時計という非常に限られた操作領域では、有効に作用するだろう。

Apple Watchでは圧力を感知するForce Touchが導入される。ディスプレイの周囲に配置された小さな電極で「軽いタップ」と「深く押す」の違いを認識するという

もう1つ新しいインターフェイスとして注目しているのがTaptic Engineだ。実際に体験した筆者は、エレガントで音なく、コツンと手首に振動を与えてくれる新鮮な感覚を味わうことができた。そう考えると、途端にスマートフォンのバイブレーターが下品に聞こえてくる。ForceTouchとともに、触感に踏み込む可能性の1つと言えるだろう。

リニアアクチュエータによりアラートや通知を受け取った場合に触覚に働きかけるTaptic Engine

Internet of Things

IoTとも呼ばれるモノのインターネット。身の回りのモノがインターネットにつながるようになり、これらをスマートフォンを持った人が活用する、そんな世界が訪れようとしている。

スマートホーム、自動車などの大きなものは、ネットにつながることとデータ集積による学習によって、自律的に人の役に立つようになるだろう。ディスプレイやボタンすらないようなデバイスがネットにつながるようになる。あくまで人が主導権を握るためにも、スマートフォンとの連携という手段を確保しておきたいところだ。