楽天は12月18日に都内で記者会見を開き、電子ブックリーダー「kobo」ビジネスの状況を説明するとともに、新製品「Kobo aura H2O」の体験会を実施した。
新型の防水・防塵の電子書籍リーダー「Kobo aura H2O」 |
まずは楽天の田中氏が登壇し、電子書籍の全般的な状況や、同社の電子書籍事業について述べた。日本の電子書籍市場は2013年に1,000億円を超える規模に拡大しており、中でもコミックが全体の70%近くを占めている。
楽天Koboも会員数が継続的に増加(具体数には言及せず)、コンテンツの売り上げに関しても2012年から2013年は3.2倍、2013年から2014年に関しても2.3倍に拡大しているという。
Kobo事業における2014年の取り組みとしては、3点を紹介。まず電子書籍を扱うストアに関して、従来は楽天ブックスと異なる「楽天Kobo電子書籍ストア」で販売していたが、2013年から順次楽天ブックスへと統合を行ってきた(2014年10月1日より楽天ブックスへの統合を完了)。楽天Kobo電子書籍ストアもまだサイトは残っているものの、すでにトラフィックが少なくなっており、2015年中ごろを目途に閉鎖の予定としている。
電子書籍に対する取り組みでは、Androidアプリも楽天UIを取り込み、ユーザービリティを向上。ログインをスキップして簡単に購入できるクイック購入や、コミックのまとめ買い機能、支払い手段にラクーポンを加える機能強化を挙げた。
パートナーとの取り組み強化に関しては、12月9日から行われた「進撃の巨人 15巻」の事例を紹介。出版社である講談社、取次の大阪屋(注:楽天が筆頭株主)と連携し、書籍のコミックを購入すると、楽天Koboの関連電子書籍コンテンツがダウンロードできる特製イラストポストカードをプレゼントするというもの。これによって、新規のKobo会員を増やすO2Oの成功事例となったという。今後もこのような、楽天Kobo×出版社×書店、という取り組みを継続する予定だ。
また、新サービスとして、すでに海外で行われている自己出版サービス「楽天Koboライティングライフ」のベータ版を12月18日からスタート。コンテンツクリエーターの利便性を向上させるとともに、電子書籍市場のコンテンツ拡大を目指す。
2015年以降の予定としては、現在実証実験中の「書店で買える電子書籍カード『BooCa』」をより本格的に展開すること、サイトとアプリの使いやすさを改善、コンテンツジャンルごとの販促戦略という3点を挙げた。最後の販促に関しては、コンテンツごとに行動が異なり、例えばコミックでは一巻無料から全巻購入への誘導、文芸では作家やサブジャンルの買い回り販促を行うという。