ボーイングの最新機種・787-9のローンチカスタマーであるニュージーランド航空は12月2日、787-9での成田~オークランド便運航を開始した。787-9そのものはANAがすでに国内線を就航しているが、長距離路線になるほど力を発揮するのが787-9である。今回、成田~オークランド線の初便に搭乗し、その乗り心地を体験してみた。
エコノミークラスでフルフラット
ニュージーランド航空が787-9を受領したのは7月9日。同機による成田~オークランド線は、パースーオークランド線に続く2路線目の定期路線となる。成田就航日には同社が特別な機体にのみ使用しているブラックカラーの787-9が登場。なお、同社が現在保有している787-9は3機ある。
今回の就航を記念して、搭乗前には機長からのあいさつのほか、搭乗者には特別仕様のポストカードがプレゼントされた。そして、この787-9の就航で初めて日本に開かれたサービスが「スカイカウチ」である。
スカイカウチはエコノミークラスの席を3席丸ごと使用できるサービスで、同社のホームページより購入した場合、ひとりなら片道+8万円、ふたりなら片道+4万円で、エコノミクラスからグレードアップできるというもの。しかし、ただ広くなっただけではない。フットレストをシートと水平の高さまで全て持ち上げると、縦155cm・横74cmのベットができあがる。
くつろぎ空間をしっかり確保できるため、カップル利用のほか、子連れ旅行にもぴったりだ。なお、エコノミークラスでは3-3-3配列となっており、スカイカウチは窓からの風景を楽しみつつ、通路へのアクセスにも困らない。
ふかふかのマットレスでぐっすりと
もちろん、ビジネス・プレミアもフルフラットである。787-9のビジネス・プレミアは18席限定で、斜めに配置された席では周りを気にすることなくゆったり自分の時間が過ごせる。個人モニターやテーブルは自由に位置を調整できるので、食事やPC利用、機内エンターテイメントの視聴など目的にあわせて便利に活用が可能だ。
各シートにはクッションや羽毛布団のほか、形状記憶マットレスも用意。全長201cmのシートで横になっていると、「ここって飛行機の中だったっけ?」と思ってしまうくらい、機内でぐっすり休むことができた。また、アメニティーには鮮やかなデザインのソックスをはじめ、メイド イン ニュージーランドの品々がポーチに収められている。
長距離路線ほど魅力が生きる
787-9が日本から長距離路線で利用できるようになった今、あらためて787-9の利便性を見直してみよう。
1万5,400kmもの航続距離を持つ787-9は、787-8の胴体を6.1m延長したモデル(787-8は全長56.7m、787-9は全長62.8m)で、787-8の約1.2倍の座席と貨物を搭載できる(座席は国内線仕様機材での比較、貨物は搭載可能重量での比較)。また、787-9は787-8よりもさらに高い23%の燃費性能を有している(767-300ER対比)。
利用者としてのメリットは、燃費性能向上による価格調整だけではない。空の上では一桁台の湿度を示すことが通常だが、787-9の場合、その2~3倍にまで湿度が上がる。また、従来機よりも気圧を高くすることができるので、実感はしにくいかもしれないが、ワインの風味や機内食の味をより地上に近い感覚で楽しむことができるというメリットもある。
分かりやすいところで言うと、窓の大きさが従来機より1.3倍大きい。窓はUVカットもされているので、紫外線が気になる空の上でも、大きな窓から景色を楽しむことができる。総じて言うと、787-9は燃費や身体にかかる疲労度・乾燥などの面も含め、長距離になればなるほど、会社も利用者もその良さを実感できる飛行機なのである。