――原作を読むとき、自分が演じる役を意識しますか?
釘宮「最初はできるだけフラットに読むようにしています。役を意識しながらもう一度読むこともありますが、時間がない場合は、とにかく普通の読者の視点で読みます。そのほうが、作品の面白さが客観的に読み取れると思いますし、作品自体も好きになれるような気がします」
――キャラクターは実際の収録になってから作る感じですか?
釘宮「実際に耳で聴いて、相手の方とのバランスをとっていく感じです。何となくのイメージはしますが、特に音読して練習したりはしないです」
――口に出して練習はしないのですか?
釘宮「言いづらい言葉は口に出してみたりもしますが、喋り方などはあまり決め込まずに現場に行きます。今回もスラ子ちゃんのお芝居を聞いたとき、ふんわりした可愛い感じだったので、ストロフライは、あっけらかんとして元気一杯で、ズケズケものを言うような感じにしました。今回は二人きりの収録だったので、そのほうが聞きやすいと思ったので」
――そのあたりはブースに入ってから考えるのですか?
釘宮「ブースに入ってから考えます。最初のテストのときはもうちょっと可愛い感じでやってみたんですが、対比などを考えながら変えていきます」
――それはほかの現場でも同じですか?
釘宮「基本的には同じです。ただ、例えば自分がインパクトのある役をいただいている場合は、"こんな感じです"と先に出したりもしますし、役割によって変わることもあります。あまり先に決めちゃうと、それは違うと言われたときにショックを受けると思うので、あまり作らずに現場に行くことが多いです(笑)」
――事前に役作りはあまりしないのですね
釘宮「最初に原作を読んだときの印象を大事にして、それをベースに現場で演じます」
――『京都多種族安全機構』のオーディオドラマでは、関西弁の役でした
釘宮「関西弁が本当に難しかったです。さらに関西弁だけじゃなく、標準語のモノローグがすぐ後に入ってくるので、ハードルが高くて……。イントネーションを気にしすぎるとアップアップになっちゃうので大変でした」
――これまであまり関西弁の役はやっていらっしゃらないような……
釘宮「ほとんどやったことはないです。親戚が関西にいて、関西弁を聞く機会はあっても、基本的に話すことはないので……」
――収録を聞いていた作家さんは完璧だったとおっしゃっていました
釘宮「そういっていただけるとすごくうれしいです」
――そういう意味では、どうして釘宮さんが関西弁の役になったのでしょう
釘宮「そうですよね。 なんでなんでしょう」
制作スタッフ「釘宮さんならできるんじゃないかと思って(笑)」
釘宮「(笑)。最初に台本を読んだときドキッとしましたよ。これが東北弁とかだったら、絶対にムリだったと思います」
――今回、二作分のオーディオドラマを演じられましたが、それぞれの作品についてはいかがですか?
釘宮「それぞれ面白さの質が違いますね。『スライム……』は、すごくサクサクと読める作品で、主人公のマギ君の、失敗したり弱気になったりした心の機微が全部書いてあるので、可愛いやつだなと。『京都……』のほうは、本当に緻密にいろいろなことが描写されているので、読みながらどんどん世界観に触れていく感じが面白いと思いました」
――『京都……』は謎が多重になっていて、読み応えがありますよね
釘宮「話を読み進めていく楽しさがありますね。すこし難しいところもありますが、作中でちゃんと導いてくれるので、謎が気になって、追いかけてしまうところがあると思います。そして、どちらの作品もキャラクターがすごく魅力的です」