絞りをコントロールして効果的なボケを作り出す
イルミネーションの見栄えを高めるには、「ボケ」を上手に利用することが欠かせない。イルミネーションの光源であるLEDは、くっきりとピントを合わせると小さな点として写るが、ピントを外せば丸いボケとして表現される。つまり、ピントを合わせるポイントを、LEDの位置から遠ざければ遠ざけるほどボケ量が増え、丸ボケは大きく写る。
下の写真は、カメラの手前に置いた小さな汽車のオモチャにピントを合わせることで、その背後にあるイルミネーションを丸ボケとして表現したもの。ズームはテレ端を使用し、絞りは開放値のF2.8にセットした。
一般的に、レンズ一体型のコンパクトデジカメはボケの表現があまり得意ではないといわれている。センサーサイズが小さく、それに比例して焦点距離が短くなるためだ。だが、PowerShot G7 Xの場合は、1型というコンパクトデジカメとしては比較的大きなセンサーを搭載しているため、近接撮影であれば、こうしたボケの表現が楽しめる。しかも、レンズの開放値が明るいので、ボケ調整の自由度は高い。
下の3枚の写真は、絞り値によるボケの度合いを比較したもの。ピントは手前にあるクリスマスツリーのシルエットに合わせている。絞りの数値を小さくするほど、背景のボケが大きくなることがわかるだろう。
こうした背景に生じる「後ろボケ」だけでなく、「前ボケ」を取り入れるのも効果的だ。下の写真は、手前にあるLEDに大接近しつつ、奥のツリーにピントを合わせて撮影したもの。大きな前ボケが生じたことで、写真がいっそうきらびやかなイメージになった。
なお、イルミネーションの強い光によってAF(オートフォーカス)が合いにくくなる場合はMF(マニュアルフォーカス)に切り替えよう。PowerShot G7 Xのマニュアルフォーカス機能では、部分の拡大表示を見ながら、手動による厳密なピント合わせが行える。