ITテクノロジーの進化を振り返ると、正に「光陰矢のごとし」だが、国産ワープロソフトである「一太郎」は来年(2015年)で30周年を迎えるという。ジャストシステムは前身となるPC-9801シリーズ用「jX-WORD太郎」のリリース(1985年2月)からカウントし、2014年11月から「一太郎30周年記念スペシャルコンテンツ」を公開してきた。
そして2014年12月2日、本命となる次期製品に関する発表会を都内で開催。30項目に及ぶ新機能を搭載した「一太郎2015」や、入力補助やクラウドサービスを利用する「ATOK 2015」を発表した。PCにおける入力をさらに楽しみ、豊かな言葉を使えるような各新製品に興味を持つ読者向けに、詳細なレポートをお送りする。
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30周年を迎える「一太郎」使いやすさを改善する30ポイント
最初に登壇したジャストシステム 代表取締役社長の福良伴昭氏は、一太郎が30周年を迎えたことに対して、ユーザーを始めとする関係者に感謝の言葉を述べながら、「日本一のワープロソフトになれ、という意味を込めた」と一太郎の命名理由について語った。
続いて一太郎の開発責任者であるCPS事業部 開発部の吉住康弘氏が登壇。30年間もユーザーに受け入れられたソフトウェアは、周りを見回しても少ないと自社製品に対して自信を見せながら、企業や官公庁、プロの作家など幅広い場面で一太郎シリーズが使われているとアピールした。
吉住氏は、一太郎シリーズの初代プログラマーでもある福良社長にヒヤリングしながら、今回の設計・開発に当たったという。その結果今回の一太郎は、原点と現在をつないだバージョンと述べても過言ではないとした。
その「一太郎2015」の注目ポイントは、余計な手間をかけずに思考をアウトプットするための「快適化30項目」である。一太郎2011から搭載したツールパレットに検索シートを加えた「いっきにシート検索」は、単独もしくは複数シートに対して横断検索を行うというもの。
さらに一太郎内で辞書を引きやすくするための「しっかり辞書引き」を新たに搭載した。同じくツールパレットから各種辞書を引く際は、単語の意味や用例の確認はもちろん、複数の辞書を使うときに比較も行うことで、適切な単語や言い回しを使えるようになる。その他にも、Windowsでは一般的なショートカットキーとして「Win」キーを利用するといった機能を搭載した。
さらに、2014年6月にIDPF(International Digital Publishing Forum)が正式公開したEPUB 3.0.1にもいち早く対応。ジャストシステムによれば世界初だという。2012年からEPUBへ正式対応した一太郎だが、プロプライエタリのEPUB3作成ソフトとしては、定番の地位に近づいてきた。そのため、EPUB新仕様への追従も素早かったのだろう。
今回の一太郎2015は通常パッケージ版や、辞書やフォントをセットにした「一太郎2015プレミアム」、そして詳しくは後述する「一太郎2015スーパープレミアム30周年記念パック」の3種類を用意した。通常パッケージ版には30周年を記念して、便利なソフトウェアの「らくらく! 画面カッター」(画面キャプチャ)や「はかどる! 数式メーカー」が付属する。
一太郎2015のラインナップ。最上位に「一太郎2015スーパープレミアム30周年記念パック」が並ぶ |
アプリケーションなどの画面をキャプチャーする「らくらく! 画面カッター」。丸形や星形でキャプチャーすることも可能だ |
また、「一太郎2015プレミアム」にはフォントメーカー(5社)が協賛し、11書体を収録した。うち5書体は、視認性やシンプルさにこだわることで注目を集めているUD(ユニバーサルデザイン)フォントとなる。この他にも同梱のソフトウェアとして、定番の「ジーニアス英和/和英辞典 for ATOK」や、新たに「三省堂類語新辞典 for ATOK」「三省堂国語辞典 for ATOK」、読み上げソフトの「詠太5」、ドローソフトの「花子2015」などが付属する。