Q. Apple Payが日本で利用できるのはいつ?

米国外の多くの国では、Apple Pay対応はイシュア側の判断に委ねられる部分が大きいが、日本の場合はまた別の事情があり、Apple Pay到来にはまだ超えなければならないステップが複数存在する。

トークン化以前に、日本では「EMV(ICカードの規格)普及」、そしてそもそも「カード普及率が先進国でも低い」という問題がある。特に少額決済を取り扱う小売店でのカード導入と手数料徴収に対する抵抗があり、仮にApple Payが日本にやってきても当面は大手小売店チェーンを中心に展開されることになるだろう。

また、日本ではごく数カ所しかPayPassやpayWaveを受け入れている店舗が現状で存在せず、非接触決済の多くはおサイフケータイに代表されるFeliCaベースの技術に依存している。両者に互換性はないため、決済端末も含めて改めて全国展開を行わなければならない点が課題だ。

Felicaマーク。日本で普及しているのはFelicaベースのおサイフケータイ

「日本ではおサイフケータイのせいでApple Payの普及が阻害される」という意見もあるが、これは正しい認識ではないと筆者は考える。おサイフケータイのベースになっている「FeliCa」の技術はもともと日本に存在していたものだし、別にApple PayのベースになっているType-A/B系の技術導入を阻害するために普及したわけでもない。

現在ではFeliCaをベースにした決済件数は「WAON」「nanaco」「Suica」を中心に伸びており、流通大手でのポイントカードを兼ねた決済と、交通カードとしての利用が多いことがわかる。これら事業者は読み取り端末の数も多く、一気に更新するのは難しい。交通系カードのFeliCaからの切り替えはまだ難しいと考えられるが、イオンやセブンアイなど小売店各社は2020年の東京オリンピックに向けて外国人受け入れ策を講じる必要があり、今後数年以内に何らかの対応を行う可能性が高いと考えられる。