付属のNCイヤホンと最新「XBA-A2」で試聴
今回試したモデルはメモリ容量32GBの「NW-A16」。組み合わせたイヤホンは標準付属の「MDR-NWNC33」と新製品の「XBA-A2」、いずれもインナーイヤー型だ。圧縮音源はDSEE HXをオン/オフしつつ、ハイレゾ音源はすべての音質オプションをオフにした状態で試聴した。
まずは、13.5mmのダイナミックドライバー1基を搭載した「MDR-NWNC33」から。ハウジング部を耳穴に対し垂直に装着するソニーお得意のバーティカル・イン・ザ・イヤー方式を採用する本機は、付属品ながらキレよく締まった音を聴かせてくれる。ただし、すべての高音質化機能をオフにすると、低域のレスポンスが鈍くぼやけた印象になることもあるため、「各種設定」のヘッドホン選択で「Clear Phase」をオンにして聴くことをお勧めする。若干、"作られた音"とはなるが、ポップス系はこちらのほうが楽しめるだろう。
上位機ほどの消音効果はないもののデジタルNC機能に対応するため、通勤・通学と普段使いの1台には手ごろだ。とはいえ高域にかけての解像感や音場感にもの足りなさを覚えることも確かで、A10の売りである「ハイレゾ再生」が目的であれば、ヘッドホン/イヤホンを買い増したほうがいい。DSEE HXの効果も、より高性能・高音質なヘッドホン/イヤホンのほうが体感しやすいはずだ。
次に着用したのは、ハイレゾ対応の2014年秋モデル「XBA-A2」。バーティカル・イン・ザ・イヤー方式のボディには、口径12mmのダイナミック型1基とバランスド・アーマチュア型2基を組み合わせた新開発HDハイブリッド3ウェイドライバーを搭載、低域から高域までバランスよい音を楽しませてくれる。ノイズキャンセル機能はないが、A10との相性は良好だ。
特筆すべきは新開発の「リニアドライブバランスド・アーマチュア」で、中域から高域にかけてのクリアネスと輪郭の鮮明さはハイレゾ再生に好適。低域のレスポンスも良好で、ベースやスネアの音ももたつかない。圧縮音源再生時におけるDSEE HXの効果も明らかに感じられ、微細な音の再生に長けていることがわかる。ウォークマン本体(NW-A16)をもう1台購入できるほどの価格だが、専用ケーブル(MUC-M20BL1)を別途用意すればバランス接続が可能になるため、同社のポータブルアンプ「PHA-3」に興味津々のユーザにとってもお誂え向きだろう。