施設を利用するには、同施設の会員登録と、初期費用、月額料金が必要。対象利用者は、20歳以上のハードウェア開発志望者や起業志望者で、10月31日より利用者の募集を受け付けている。利用期間は最短2カ月間から。
基本料金は、オフィススペース「DMM.make AKIBA Base」のFreeAddress自由席が初期費用40,000円、月額料金20,000円。TeamRoom3(利用可能人数3名)が初期費用240,000円、月額料金120,000円。TeamRoom6(利用可能人数6名)が初期費用480,000円、月額料金240,000円。
ワークスペース「DMM.make AKIBA Studio」の利用は初期費用30,000円、月額料金15,000円。「DMM.make AKIBA Base」と「DMM.make AKIBA Studio」の両方を利用する場合(Studio+Baseプラン)は、初期費用60,000円、月額料金30,000円。なお、TeamRoom契約者は「DMM.make AKIBA Studio」も利用できる。
なお、FreeAddressおよび「DMM.make AKIBA Studio」、Studio+Baseについては、11月10日までに利用申し込みを行うと、初期費用および2015年1月まで約3カ月の月額料金が無料となる。
■対応サービス | ||||
エリア | プラン | 登記 | 所在表記 | 郵便受取 |
DMM.make AKIBA Base | FreeAddress | △ | △ | △ |
---|---|---|---|---|
TeamRoom3 | ○ | ○ | ○ | |
TeamRoom6 | ○ | ○ | ○ | |
DMM.make AKIBA Studio | × | × | ▲ | |
DMM.make AKIBA Studio+Base | △ | △ | △ |
△:Lockerオプション契約者は利用可能。 ▲:事前購入資材のみ一時預かり可
■Lockerオプション | |||
サイズ | 月額料金(円) | ||
Mini | 5,000 | ||
Middle | 7,000 | ||
Large | 9,000 | ||
Big | 11,000 |
あとは『モノを作りたい』気持ちだけ(DMM.com 吉田氏)
「DMM.make AKIBA」には、ネット接続型の家電製造メーカーCerevo、IoT関連のスタートアップ向けに投資を行うABBALabが、10月31日付で移転。施設運営や造形設備はDMM.comが担当するが、Cerevoは同施設に導入する設備監修を行っており、開設後も電子機器設備の運営やノウハウ提供を担当する。また、「DMM.make AKIBA」の設備を使用した製品開発も行う。
設備の監修はCerevo代表取締役の岩佐琢磨氏が行った。2007年に設立したCerevoは、当時から小ロット生産によるハードウェアを開発してきた。「DMM.make AKIBA」では、Cerevo設立当時に、スタートアップが利用できるこのような施設があれば、という思いも踏まえ、導入設備などを考えたという。
企画検討から回路設計、3D設計、試作試験など、ハードウェア製品はプロダクトを量産化させるまでに多くの設備が必要だが、「DMM.make AKIBA」では、ベア基板製造や金型作成、量産立ち上げラインを除く全工程が行える。
「DMM.make AKIBAは道場に似ている。黒帯の人もいれば、気軽な気持ちでとりあえずやってみようと門を叩く人もいると思う。利用者だけでは難しい部分はサポートもする。『作りたい』という気持ちが大事」(岩佐氏)。
ABBALabは、IoTハードウェア分野のスタートアップ企業やエンジニア向け投資プログラム「ABBALab Farm プログラム」を提供する。プログラムの対象となった企業やエンジニアには、製品の試作や生産モデルの開発など、段階に応じて必要な資金提供やスキル教育の支援を行う。
資金提供プログラムは、同社が主体となる予算型と、利用者が法人化し主体となる投資型を用意。プロトタイプ作成後、クラウドファンディングなどでの少量生産、審査などを経て、適量生産モデル化した際にリターンを回収する。デモイベントの運営や、メジャーメーカーとのアライアンスもサポート予定だ。
企業・エンジニア向け投資プログラムを担当するABBALab代表取締役の小笠原治氏は、ものづくりをトータルでサポートする同施設の利用者は「作らない言い訳はできない」と語る。
「せっかくの技術を職場の企画書だけで終わらせず、実現して欲しい。お金の言い訳をする方もいる。電子工作なら数千円、数万円程度だが、製品化となると数十万円、数百万円が必要。でも数百万円で悩んでいるのであれば、ここへ来て手を動かして欲しい」(小笠原氏)。
実際の運営に携わるDMM.comの3Dプリント事業部企画営業プロデューサーの吉田賢造氏は、ものづくりに必要な機材全てを集約した「拠点」を強調。
「恒温恒湿試験機や水深30mの耐水試験が行える耐水試験機、目玉となる半田自動印刷機や自動実装機、全てが揃っている。あとは『モノを作りたい』という利用者の気持ちだけ。それだけあればモノが作れる設備を揃えた」と話す。
DMM.comがDMM.make AKIBAを開設した背景は、クラウドファンディングなどに代表されるように、ものづくりのブームが到来していると説明。支援策として3Dプリントサービス「DMM 3D プリント」やハードウェア開発情報コミュニティ「DMM.make」を展開してきたが、世界に通用するものづくり支援プラットフォームとして、今回「DMM.make AKIBA」を開設した。
しかし、施設開設に投じた約5億円という金額に対し、利用料金は低額に設定されている。これに関し吉田氏は「設備投資の回収という意味では正直厳しい。しかし、今後、ハードウェア開発に成功した企業へDMM.comの流通サービスの利用提案などは予定している。この施設からヒット商品を生む企業が2つ、3つと出てきてくれれば」と希望を語った。