注目すべきは、洗面所とトイレ、シャワールームがひとつになっているところ。本来ならすべて別の部屋に分けるところをひとつにしたのには、「二人暮らしを想定しているので、どちらかが入っていればわかる」という理由からだ。これにより、スペースをさらに有効活用することができるという。

洗面所とトイレ、シャワールームがひとつになっている

シャワーは海外仕様

ちなみにこの部屋、シャワールームはあるが、浴槽はない。浴槽に浸かりたいときは、1階の共有空間にあるスパなどを利用することを想定しているという。収納もベッドルームのみと少ないが、地下にエレベーターと直結した共有のストレージスペースを設けることを想定しており、そちらを収納として利用するイメージだという。すべてを自宅で完結するのではなく、共有のファシリティも積極的に利用していく。それが"コンパクトライフ"の根底にある考え方なのだ。

レトロな雰囲気と最新の設備が違和感なく共存しているのも特徴的だ。一見、寝室とリビングの仕切りにも思える金属の壁、実はパネルラジエーターといって海外のホテルなどでよく見られる暖房器具。冷房としても使えるのだという。同じものが洗面所にも付いており、いずれも部屋のデザインに違和感なく溶け込んでいる。

また、洗面所の鏡がデジタルモニターになっており、様々な情報を表示できる。たとえば今日の天気や風向きなどはもちろん、住人の健康状態などを管理してくれる機能も搭載されている。老後と健康は切っても切り離せない問題なので、これは役立ってくれそうだ。

鏡がモニターにもなっている

「都市型コンパクトライフのススメ展」の初日となる10/16(木)には、関係者が集まりオープニングセレモニーが開催された。まずインテリア産業協会 常務理事の辻 猛氏が登壇し、挨拶を行った。

インテリア産業協会 常務理事の辻 猛氏

建築家・末光弘和氏

「欧米では、子育ては広いところ、リタイア後は狭いところと、年代で住み替えていくそうです。なぜそれができるかというと、住宅の買い替えに対して日本ほど色々な税がかからないのです。その代わり、固定資産税が高いので、リタイア後に大きな住宅に住んでいると大変です。年金生活に見合った快適なところに移り住むことを税制が援助しているのです。(日本でも)そういう条件が整えば、コンパクトな生活がしたくなるのではないでしょうか」

続いて、建築家の末光氏が登壇。今回のテーマについて「戸建住宅ではなく、50歳以上の人が住み替えるための50m2の集合住宅というのが今回のお題でした」と述べ、「コンパクトだけと豊かになるってなんだろうと考えた結果、地域に開かれた集合住宅だと。事業者のシミュレーションもしていて、経済合理性に優れたタワーマンションほどではないけれど、+1~2%程度で地域に喜ばれるような建ち方ができるというオールタナティブな提案です」とコンセプトを説明した。

内装を手がけたインテリアコーディネーターの荒井氏は「上質感と自分らしさをキーワードに、カフェキッチンはカジュアルモダン、ベッドルームとリビングはプレミアムミックスな家具類を選びました」とコメント。

今回の展覧会は、OZONEらしくこれからの住まい方のヒントが見られる内容となっている。最後にリビングデザインセンターOZONE常務取締役の野口恭夫氏が登壇し、「ぜひご覧ください」と挨拶した。

インテリアコーディネーター・荒井詩万氏

リビングデザインセンターOZONE常務取締役・野口恭夫氏

「都市型コンパクトライフのススメ展」は、リビングデザインセンターOZONE 3階のOZONEプラザにて11/11(火)まで開催中となっている。