富士通は10月9日、法人・個人向けのパソコンおよびタブレットの新製品として、4シリーズ8機種を発表した。都内で行われた製品発表会見では、同社のユビキタスプロダクトビジネスの取り組みや、NTTドコモ向けのスマートフォンおよびタブレットの新モデルも紹介した。
ユビキタスビジネスグループの総力戦
富士通 ユビキタスプロダクトビジネスグループ長の齋藤邦彰 執行役員常務は、「今日はユビキタスビジネスグループの全製品を並べた総力戦。富士通はひと味もふた味も違うな、相変わらず元気だなと思ってもらいたい」と切り出した。
齋藤氏は、クラウドサービスの広がりに加え、ウェアラブル製品やクルマの市場など新たなIoT領域の製品が登場している中、「やらなくてはならないことがたくさんある。難しい局面にあるのは確かだが、チャンスもある」と、ユビキタスプロダクトを取り巻く環境を説明した。
続けて、「富士通にとって、ユビキタスプロダクトは新たなデバイスや新規領域の開拓を行うための事業であり、これによって市場を活性化させ、ワークスタイルやライフスタイルの変革を生んでいく」と、ユビキタスプロダクトをイノベーションの原動力として位置づけた。
さらに、ユビキタスプロダクトの展開について、既存領域、イノベーション領域、ソーシャルイノベーション領域の3つの活用領域に分類し、中でもソーシャルイノベーション領域について、「実証実験などを通じて、新たな分野に対して、新たなデバイスを投入する挑戦になる」とした。
また、「これらの3つの領域は基本的には法人需要の取り組みが中心になるが、コンシューマ向けにも力を注ぐ。コンシューマユーザーはイノベーションに敏感であり、貴重で、大切な先生である。富士通が開発したHCE(ヒューマン・セントリック・エンジン)を利用し、新たな価値を提供する」と述べた。
一方、ソニーによるVAIOの売却、米ヒューレット・パッカードによるPC事業の分社化といった動向については、「これらの動きは、機動力を増すための戦略であると捉えている。しかし、富士通は設計から製造まで速いディシジョンでビジネスをまわす体制がすでに構築できている。分社化の必要がない」と、同社が追随することを明確に否定した。