古い話だがWindows XPリリース直後、Windows 2000に過剰な装飾を加えて動作が"重くなった"と愚痴るユーザーが少なくなかった。Windows XPの普及度を踏まえれば単なるPCのスペック不足から生まれた不満だったことは容易に想像できるだろう。その一方でWindows Vistaリリース後も同じような愚痴がメディアやネットに溢れかえった。
結局のところラガード(Laggards)に属するユーザーはすべてにおいて保守的であり、革新的なハードウェア/ソフトウェアが登場しても、「○○で十分」と思考停止を選択してしまう。もちろんユーザーニーズと製品の役割が合致していない場合はその限りではないものの、いつの時代も新たなものを受け付けないラガード層は存在する。
なぜ、このような話から始めたかと言えば、Windows 10においても同様の論争が起きそうな気がしたからだ。
さらに強化したフラットデザイン
まずは下図をご覧頂きたい。これはWindows 95/XP/7、そしてWindows 10テクニカルプレビューのデスクトップを並べたものだ。時代ごとの流行を反映させ、ボタン1つとっても立体的なものからフラット化し、ウィンドウフレームも角張ったものから一度丸みを帯びている。そしてWindows 10テクニカルプレビューでは再びソリッドなデザインを採用した。
世の中のUIデザインがフラット化に進んでいることは、Mac OS XやiOS、Androidといった他のOSを見れば時代の風潮であることは明らかである。さらに述べればWindows 8もフラットデザインを多用し、モダンUI自体がタイポグラフィを重視したデザインだ。良しあしに関しては好みに類するため割愛するが、Windows 10テクニカルプレビューを触って最初に気付くのは"ウィンドウの影"である。
静止画では分かりにくいが、ウィンドウ上下左右の50ピクセル程度に影がかかっていることにお気付きだろうか。上図で言えばコントロールパネルの右側にあるバージョンダイアログや、右下にあるエクスプローラーに影がかかっている。以前からWindowsはタイトルバーでアクティブ/非アクティブウィンドウを見分けていたが、さらに影を強調することでウィンドウの重なり具合を直感的に把握可能になった。
フラットデザインの採用は、WindowsというOSでは当たり前に存在していたウィンドウフレームが存在しないように見える。Windows 8/8.1では太く感じたウィンドウフレームのボーダーサイズだが、Windows 10テクニカルプレビューになると1ピクセルにまで縮小した。
このボーダーサイズは、伝統的にHKEY_CURRENT_USER\Control Panel\Desktop\WindowMetricsキーの文字列値「PaddedBorderWidth」で制御し、Windows 8.1の既定値は「-60」である。Windows 10テクニカルプレビューも同値だったため、太くしてみようとデータを変更してみたが、変化を確認できなかった。まだ詳しく精査していないため、Windows 10が同文字列値を参照しないのか確認できないが、時節を踏まえると製品版までこのまま進みそうだ。なお、タスクバーの半透過処理はそのまま受け継がれている。
さらに背景画像によってウィンドウフレームなどの配色が変化する点も同じだ。この範囲はスタートメニューに広がり、背景画像を濃くした配色が用いられる。この自動配色も個人の好みで評価が分かれるところだが、Windows 8.1と同じくカスタマイズ可能なため、大きな問題にはならないだろう。