ディスプレイを手前に、キーボードを奥に

ペンについてもこだわり抜いている。ペン入力にはソニー時代から採用していたN-trigを引き続き採用。筆圧にも柔軟に対応できるほか、ディスプレイについても、ソニー時代から採用しているダイレクトボンディング方式を採用。液晶パネルとタッチパネルの間にはジェルを入れて、空気層をなくし、視差が最小限にするとともに、ペン入力時のエアギャップを低減。狙った場所に的確にペン入力ができ、紙に書くのと同じような書き心地を実現している。

ペン入力システムは、ソニー時代と同じくN-trig(エヌトリグ)を引き継いでいる。右の写真はデジタイザペンで、上がソニー時代のもの、下がVAIO試作機のもの。色も黒に近い色を採用している

さらにワイヤレスキーボードと、タブレット形状を選択したのも、クリエイターの利用を想定したものだ。

多くのクリエイターがキーボードで利用するのは、イラストソフト使用時のショートカットキーの選択だ。そのため、ペン入力作業を行うディスプレイ部はなるべく手前におき、キーボード部はディスプレイの後ろ側から、ショートカットに使用するキーだけが使えるような形で設置する場合が多い。この設置方法への配慮として、ワイヤレスキーボードを採用した。

また、タブレットとすることで作業場所が固定されず、さまざまな場所で利用できるほか、タブレットを別の作業者に直接渡して、続きの作業を進めてもらうという使い方も可能になる。

キーボード部。VAIO Tap 11に近いつくりで、バッテリを内蔵する。背面はヘアライン加工が施されている

「漫画家のオフィスは、ペンタブレットの大きさと、アシスタントの人数で、作業部屋のスペースが決まると言われている。タブレットにすることで、こうした問題が解決でき、コスト削減にも直結する」と、VAIO株式会社マーケティング・セールス&コミュニケーション部商品プロデューサー商品企画担当ダイレクターの伊藤好文氏は語る。

VAIO株式会社マーケティング・セールス&コミュニケーション部商品プロデューサー商品企画担当ダイレクターの伊藤好文氏

独自のスタンド機構「フリーストップスタンド」

そして、クリエイティブタブレットPCにおいて見逃せないポイントは、「フリーストップスタンド」と呼ぶ、独自のスタンド形状だ。

背面に組み込まれたスタンドは独自構造により、持ち上げた場合にもスタンドを手で押さえることなく角度を変えることができる。そして、任意の角度に留め、ペン入力をしてもグラつかない強度を維持している。見た感じでは、角度は約20度~約80度といったところまで対応でき、自由な角度で利用できるようになっている。

フリーストップスタンドを背面に搭載

画面の角度を変える際に、スタンドを手で押さえずとも角度を変えられる独自構造を採用

また、インタフェースでは、USB3.0ポートを2基、SDXCカード対応のSDスロットを搭載。さらに、ミニディスプレイポートやHDMIポート、そして、タブレットでありながら、イーサネットポートまで用意している。これも、クリエイターが必要とするインタフェースの搭載にこだわった結果だ。

さらに、上部右上にはタッチ操作の可否を選択できるボタン、左上にはショートカットやズームイン/アウトなどの操作ができるメニューを表示するボタンを用意。操作性にも配慮している。

端子類の多くは左側に集中している。上部右側にはタッチ操作の可否を選択できるボタンを搭載

同等のCPUを搭載したPCの価格から想定すれば、「クリエイティブタブレットPC」の価格は、20万円以上が想定されるが、ここからは、クリエイターが欲しい機能と仕様を徹底的に追求した製品づくりを目指している姿勢が伺える。

まさに、「THE MONSTER TABLET」の表現が当てはまるタブレットだといえる。