実際に動作させて優秀だと感じたのは、障害物にぶつかると内側に引っ込むサイドブラシの仕組みだ。ごくわずかな動きではあるものの、この仕組みによってサイドブラシが壁際や家具の足元にフィットしてゴミをかき出すことができる。

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自動運転モードで稼動。壁際や家具の角に奥までサイドブラシが入り込む様子がわかる(再生時間約2分8秒、ファイルサイズ約44.6MB)

また、"マナーモード"設定も便利。夜間など騒音に配慮が必要な時でも動作音を控えめにして運転できる。標準の運転モードでの動作音は約54dBだが、マナーモードでは約52dBに抑えられる。

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本体を中心に一定の範囲を清掃する"スポットモード"で運転。通常の動作音(再生時間約53秒、ファイルサイズ約18.5MB)
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"マナーモード"で運転(再生時間約1分11秒、ファイルサイズ約24.8MB)

リモコンでの遠隔操作も可能だが、手動モードでラジコンのように任意で本体を動かしたい時の操作性が非常に直感的で思い通りに動かせるのもストレスが少なかった。

シンプルにスッキリとまとめられたわかりやすいリモコン。"手動モード"の時は中央にある3つの矢印のボタンで、左右、前方に任意で動かせる

横から見るとかなり薄く、操作時も扱いやすい

反面、弱点だと感じたのは段差を乗り越える能力。スペック上は2cmまでの段差に対応するとなっており、確かに他製品に比べても段差に強いと感じた。しかしそれが裏目に出てしまい、扇風機などのけっこうな段差のある家具にまで上って行って、エラーを起こして止まっていることが度々あった。また、ケーブルの巻き込みへの対応も若干弱いという印象だ。

本体の側面にはカメラを内蔵し、無線LAN接続による通信機能も備えている。これにより外出先からでもスマートフォンなどで部屋の様子の確認などができるが、利用するには東芝の有料クラウドサービス「フェミニティ倶楽部」への入会と別売のアクセサリ「東芝ホームゲートウェイ」が必要。便利だが、ロボット掃除機単体やスマホ単体では使えないので、誰もが恩恵を受けられる機能ではない。

本体側面にカメラを装備

外出先からスマートフォンでカメラ撮影する際に利用する"フォトポインター"。スマホから指示を出すと本体が近くに移動して静止画を撮影する

全体的な評価としては、やはりメンテナンスの頻度の少なさがポイント。毎回のゴミ捨ての手間がかからないのは、忙しい人にとってありがたい。ダストボックスは、本体側も充電台側もどちらも水洗いもできる。またフィルター類も非常に目が細かく、手入れの時に微細な粉じんが付着しているのが確認でき、排気もクリーンなのだと実感する。1週間ほど毎日使用していたが、サイドブラシへの髪の毛の絡まりがなかった点にも驚いた。

本体側のダストボックス。ここに溜まったゴミをダストステーションで吸い出す仕組みだが、直接捨てることも可能

ダストステーション側のダストボックス。通常ロボット掃除機の本体のダストボックスは構造上横長になってしまうが、縦長なのでゴミ箱に直接捨てやすい

筆者宅では、トルネオロボが段差に強いゆえに、乗り越えて欲しくない家具や家電製品の上まで突進してしまい、途中でエラーを起こして停止しているケースがしばしばあり、タイマー設定で不在時に稼動する際にはネックだった。しかし、カーペットやラグ、部屋の敷居などで段差が懸念される住居では頼もしく働いてくれるはず。また、少しでも静かに清掃してほしい人にもオススメしたい一台だ。