3次元構造のNANDフラッシュメモリを生産する新たな第2製造棟

現在は旧第2製造棟の取り壊し作業中

一方、現在建設を開始している新たな第2製造棟は、三次元構造のNAND型フラッシュメモリ(3Dメモリ)専用設備として、最新メモリへの効率的な移行を目指すのが狙いとなる。BiCSと呼ばれる3Dメモリは、縦方向にメモリセルを積むことによって1チップあたりの容量を増やし、大容量化を図れる点が特徴。2015年度後半の量産を予定しており、それに向けた施設となる。

現在は旧第2製造棟の取り壊し作業を行っており、外壁の一部が残っているだけだ。新第2製造棟は、107×242×42メートルの鉄骨2層5階建てで、建屋面積は2万7,300平方メートル。2015年夏に一部が竣工し、2016年前半には全体が竣工する予定だ。免震構造や耐火壁、耐火被覆、配管カルバートの採用などの安全性を強化するほか、全館にLED照明を採用するなど環境にも配慮した構造となる。

3Dメモリの生産においては、新たに建設する第2製造棟において、メモリセルの積層工程や、成膜、エッチングといった鍵となる作業を行う。その前後のトランジスタ工程やコンタクト・配線工程は既存設備を利用する。既存の製造棟との棟間搬送を行う仕組みを採用することで、既存設備を有効活用した形で、3Dメモリの生産が可能になるとしている。

三次元構造のNAND型フラッシュメモリを生産する新しい第2製造棟の概要や環境対策

なお、四日市工場全体では、環境対応にも先進的に取り組んでおり、製造工程などから発生した排水を回収処理し、再利用する排水回収処理設備を導入。半導体製造工程で使用するVOC(発揮性有機化合物)などの削減にも取り組み、第5製造棟では生産設備の稼働時から燃焼除害装置を設置して、化学物質の排出量の削減につなげている。

そのほか環境汚染リスクを低減するために、各種構造物対策を実施。配管の継ぎ手部からの漏れを防止し、目視管理できる配管継ぎ手部の二重化や、配管を地中に埋設せずにラック上に置くことで土壌汚染を防止する地上架空化配管方式を採用する。こうした環境保全の取り組みは、国際グリーンアップル賞銀賞や、みえ環境大賞の受賞に代表されるように、高く評価されているという。