Googleが切り開く新しいゲームの世界
第二部に登壇したのは、Googleの「Google Play」アジア太平洋地域ディレクターを務めるChris Yerga氏。氏はまず、自身のゲーム体験とゲーム環境の変化について次のように語った。
「私が子どもだったとき、友だちと一緒にゲームセンターに集まってゲームをしていた。大ヒットしていた『スペースインベーダー』を見て、私は大きなインスピレーションを得て、ビデオゲームに対する人生が始まった。それからホームコンソールが生まれ、ゲームのやり方が変わった。リビングでゲームができるようになり、マシンが強力になるにつれて没入型のゲームを楽しめるようになった。そして今、我々はゲームマシンをつねに携帯している。これは重要な変化であり、大きなビジネスの機会をもたらしてくれるものだ」(Chris Yerga氏)
常に携帯できるゲーム機、すなわちスマートフォンの登場が革命を起こしたと語るYerga氏。そんなモバイル革命の一端を担ってきたのが、GoogleのAndroid端末である。
「世界には10億人以上のAndroidユーザーがおり、毎日150万のAndroidマシンがアクティベートされている。仮に150万のデバイスを積み上げると、富士山よりも高くなり、11,500mに達する。しかし、Googleはこれらの数字に満足しているわけではない」(Chris Yerga氏)
Yerga氏によると、世界にはまだネットにつながっていない人々が50億人おり、そうしたユーザーにもAndroidを届けたいのだという。象徴的なのが、Googleが先日インドで発表した「Android One」だ。Yerga氏によると、こうした高品質で低価格な端末を提供していくことを目標にしているという。
また、Googleの強みとなるのが、Google Playだ。すでに100万以上のアプリが展開されており、20億のアプリが毎月DLされているとのことで、「非常に大きなマーケットに成長している」とYerga氏は語る。
「ゲームセンターに行かなかったような人々が、スマホを介してゲーム体験を楽しむようになっている。4名のAndroidユーザーがいたら、3名がゲームで遊んでいる。東京の地下鉄に乗ってみても、一見ゲーマーとは思わないような人がモバイルデバイスでゲームをしている。こうした現象はグローバルで見られるものだ」(Chris Yerga氏)
かつてはシンプルなカジュアルゲームがメインだったスマートフォンゲーム市場だが、最近では端末の性能が上がったことにより、MMORPGなどリッチなコンテンツも遊べるようになったとYerga氏は言う。
その例として、ステージでは実際にコロプラの『白猫プロジェクト』を4人でマルチプレイするデモンストレーションが行われた。
Yerga氏はまた、「Androidはもともとモバイル向けのOSだが、タブレットもサポートし、その他、ウェアラブルデバイスやAndroid TVもサポートしている。自動車でも使えるようになった」と、Android OSの拡大についても語った。また、ステージではAndroid TVによる実演も行われた。
「Google Play」の魅力は、コンテンツの充実だけではない。Yerga氏がアピールするのは、ディベロッパーの増加だ。過去2年で、アジア太平洋地域のディベロッパーは3倍以上に増えており、Googleは彼らを開発・販売・収益化といったすべての段階で支援しているのだという。
それは、例えばUnreal EngineやNVIDIA、Tegraといった開発環境を提供することだったり、AdMobを使って収益化をサポートしたり、販売ツールを提供することで配信をより楽にしたりといった取り組みである。
「開発者が国をまたいで活躍できるように、一箇所にアプリをのせればグローバルで配信されるようになっている。様々な決済の方法を用意し、ペイダウンロード型やアプリ内課金、サブスクリプション型も導入した。現在、上位のアプリ24のうち、23がアプリ内課金を導入している」(Chris Yerga氏)
ここでステージには、『モンスターストライク』を運営するmixiの森田CEOが登壇。開発のエピソードについてYerga氏とトークを行った。
森田氏によると、これまでコミュニティサービスを提供してきたmixiは、ゲームを開発するにあたってもやはり「コミュニケーション」を重視。フェイス・トゥ・フェイスであることと、引っ張って離すだけのシンプルなアクションにこだわった。
また、TVCMなどプロモーションに力を入れ、すかいらーくグループの店舗に広告を展開したり、セブン-イレブンでGoogle Playカードにアイテムを付与したりといったPRも行ったという。
これに対して、司会者からは「何か裏話を」というリクエストがあり、森田氏は「売上はGoogle Playの方が多い」と答えていた。
現在は台湾でも展開している『モンスターストライク』だが、想定通りの部分と、想定外で苦戦している部分があるという。想定通りなのは、口コミを通して徐々に広がりを見せていること。想定外だったのは、4人で遊べるということが、浸透しきっていないということだ。
今後は台湾でのさらなるヒットを狙う他、10月には北米、12月には韓国でリリースする予定があることを明らかにした森田氏。
海外でのヒットを目指して、日本のゲームアプリの挑戦は続く。