デザイン面ではほかに「8GBストレージに512MBメモリ、1.3インチと1.5インチのディスプレイにゴールドカラーのオプションがある」という話がある。KGI SecuritiesのアナリストMing-Chi Kuo氏による予測だが、iWatchにこのスペックの話がどこまで意味があるのかは不明だ。おそらくは後述のNFCペアリングでiPhoneと相互運用するのが基本とみられ、スペック自体はそれほど重要視されないと考えられる。むしろバッテリ駆動時間や防水性能といった項目がデザイン性とともに重要なのではないだろうか。

また、デバイスは基本的に新型iPhoneとのペアで利用されるのが前提とみられ、販売に際してもあくまで「iPhoneアクセサリ」として扱われる可能性が高い。いろいろ理由はあるが、AppleとしてはiPhoneをコアビジネスとしつつ、その周辺のエコシステムを拡大していくのが今回の発表イベントのメインテーマだと考えられるからだ。

そしてiPhoneとの結びつきで重要となるのがNFCだ。iWatchにもNFCが搭載され、さらにタップ&ペイによるモバイルペイメントに対応するという話がある。NFCはiPhoneとのペアリングのほか、実際にタッチしての支払いを可能にするものになる可能性がある。

この場合、仕組みとして考えられるのがペアリングを維持した状態でiWatchをタップ&ペイで利用しようとすると、Bluetooth Low Energy (BLE)を通じてiPhoneとの通信が行われ、決済情報をiPhone側から提示するという方式だ。あるいはトークナイゼーションなどの仕組みを活用して、一時的に"トークン"をiWatchに食わせる形で支払いや認証の代理情報を保持し、タップ&ペイのタイミングで必要に応じてトークン情報をNFCを通じて相手に提供するといった方法などだ。

もしiWatchがNFCに対応するならば、防水性能を持たないiPhoneを補完する形で、さまざまな使い方を提案してくれるかもしれない。

すでに、一部有力デベロッパーにはiWatchのSDK配布が行われており、おそらくは9月9日の発表会のタイミングでデモストレーションが行われるに違いない。iWatch用のApp Storeが用意されるという噂もあり、それを考えれば製品の発売が年末から来年初頭になるというのも、(準備期間が必要という意味で)納得できるものだ。デモストレーションは可能性を見せるために、比較的バラエティに富んだものが用意されるとみられるので、機能紹介と合わせてぜひ注目したい。