文庫本やゲーム機を持ち歩くことも少なくなった。iPhoneの登場と前後して電子書籍市場が拡大し、現在では様々な電子書籍アプリが登場している。さすがにコミックをiPhoneで読むのはまだ若干の辛さがあるが、大画面のiPhoneが登場すればそれも解決するだろう。
また、以前は鞄に必ず入れておいた携帯ゲーム機もあまり持たなくなった。iPhoneの性能が上がり、リッチなゲームアプリが次々登場すると、もうそちらだけで間に合ってしまうようになってきたのだ。もちろん、「このタイトルがやりたい」と明確に目的がある場合は今でも携帯ゲーム機を持ち歩くが、「何となく暇つぶし」でゲームをする場合は、iPhone一つあれば十分になったのだ。
iPhoneはいわばコンビニである。携帯ゲーム機であり、ポータブル音楽プレーヤーであり、電子書籍リーダーであり、デジカメである。一つひとつの性能は専用機には及ばないが、一つですべてをまかなえてしまう便利さは一度体験すると離れがたくなる。
また、コンパクトなのが良い。端末としての大きさだけでなく、機能面でもコンパクトで、できることとできないことがはっきりしていてわかりやすい。iPhoneがコンビニならPCはスーパーマーケットだ。スーパーマーケットはコンビニ以上に品揃えは豊富だが、毎日そう何回も寄る場所ではないし、何より欲しいときにその場にあるとは限らない。コンビニの便利さは、スーパーマーケットの品揃えからさらに必要なものを最大公約数的に絞り込み、町のあちこちに配置したところにある。
iPhoneも同じだ。PCの必要な機能を凝縮し、いつでも触れるポジションへ持ってきたのが革新的だった。もちろん、それはiPhone以前にもPDAという形で存在していたわけだが、携帯電話と融合させることで「一台でOK」というシンプルなスタイルを提案したのはiPhoneの功績だろう。