UEFI-BIOS画面に追加されたECO項目
それでは、「H97M ECO」のUEFI-BIOS画面を確認していこう。起動時には、ケースやボタン、バックパネルなど様々なところにあしらわれているシンボルマークを表示。画面構成は他のMSIマザーボード同様だが、ECOシリーズのイメージに合わせてグリーンを基調にしたデザインに変更されている。「H97M ECO」の独自機能は、画面左中央の"ECO"メニューから開ける「Green Power」より設定可能。「ECO」項目では、あらかじめ設定されているECO、Lounge、ServerからECOモードの動作を選択できる。
さらに細かく電力のON/OFFを調整したい場合は、画面左上のECOボタンがOFFの状態で「Cut Power」を開こう。PCIスロットや、メイン電源のLEDやHDD、LANのアクセスLED、ファンへの給電まで、細かくON/OFFが行える。また、ECOボタンのLEDもOFFにすることが可能なので、消費電力をカットするためにボタンをONにしているのに、なぜかLEDが輝いて消費電力が増える要因を作ってしまうという矛盾点も、ここで解決できる。
UEFI-BIOSを起動させたところ。グリーンを基調としたデザインの中、ECOシリーズのロゴが大きく中央に表示される |
画面左中の"ECO"メニューから開ける「Green Power」。省電力機構に関する設定はこの項目から行う |
Green Powerの中にある「Cut Power」。LEDやファン、PCIなどへの電源供給を個別に設定可能 |
ECOモードをONにすると、「ECO」項目で選んだECO、Lounge、Serverモードで自動設定される項目がグレーアウトする |
そのほか、MSIお馴染みの「Hardware Monitor」や「Board Explorer」といった機能も搭載。温度ごとのファンの回転速度を手動で調整したり、マザーボードに接続されたデバイスをケースを開けることなく視覚的にチェックできるため、拡張時の確認や不具合発生時の対処も迅速に行えるだろう。
ファンの回転速度を、温度ごとに設定できる「Hardware Monitor」。グラフィカルな画面で視覚的に設定できるため、わかりやすい |
PCケースを開けずともマザーボード上のチップレイアウトや、ソケットやポートに接続されたデバイスを確認できる「Board Explorer」 |
「ECO Center Pro」を使用しつつ消費電力を確認する
続いてWindows 8.1をインストールした環境で、専用ユーティリティ「ECO Center Pro」を使用しつつ、消費電力をチェックしていきたいと思う。テスト環境は以下の通り。CPUにはPentium G3258を、メモリには1.5Vで動作するDDR3-1600をデュアルチャネルで搭載した。また電源は80Plus Goldの定格出力500Wの製品だ。ストレージにはSATA 2世代のSSDを使用している。また、計測時にはPS/2ポートにキーボード、USB 2.0端子にマウス、HDMI端子にディスプレイを接続している。パーツ、周辺機器いずれも特に省電力を主眼としたパーツではないため、構成によっては今回のテストよりさらに消費電力を軽減することも可能だろう。
■ テスト環境 | |
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CPU | Intel Pentium G3258 |
メモリ | Patriot Memory PSD38G1600KH×2 |
マザーボード | MSI H97M ECO |
ストレージ | 東芝 THNS128GG4BBAA |
グラフィックス | Intel HD Graphics |
電源 | Seasonic SSR-450RM |
OS | Windows8.1 64bit版 |
まずは専用ユーティリティ「ECO Center Pro」の省電力機構を確認。UEFI-BIOS画面よりも、さらに多くのデバイスへの電力供給をカットできるようになっている。標準ではほぼすべての項目がONになっているが、ECOモードでは各種LEDが、LoungeモードではさらにLANポートが、Serverモードではオーディオや映像出力までもがOFFに設定される。「ECO Center Pro」標準時と各モードでのWindows 8.1のアイドル時の消費電力をワットチェッカーで調べたところ、ECOモード/Loungeモードに切り替えたところ1W減、Serverモードに切り替えたところさらに1W減が確認できた。不要なデバイスの電源をカットすることで、わずかとはいえ、確実に消費電力を減らすことが可能だ、なお、標準状態での3DMark実行時の最大消費電力は53Wだった。
ファイルサーバーはもちろんのこと、メディアプレイヤーのような使い方も
CPUの処理能力が圧倒的に足りていなかったWindows XP以前は、省電力などだれもあまり気にしていなかった。しかし、CPUの性能向上とともにPCがコモディティ化し、またCPU性能の向上がもたらす恩恵が減るにつれ、注目は消費電力あたりの性能にシフトしている。多様なデバイスを、目的に合わせて使い分ける時代となっているわけだ。
そんな中、絶対性能ではなく省電力をウリとした製品が登場したのは、ある意味当然の流れかもしれない。しかし、いまだ性能に注目が集まりがちな自作市場に、先鞭をつけて「ECO」をウリにしたシリーズを作ったMSIには敬意を表したい。
本シリーズの用途としてまず考えられるのはファイルサーバーだろう。不要なデバイスへの消費電力をカットすることで、わずかな消費電力で運用できるはずだ。またメディアプレイヤーとして、音楽や動画を再生するための小型PCを構築するのも面白い。電力供給をカットできるということは、ノイズ減を減らすことにもつながるからだ。また業務用途であれば、監視カメラやデジタルサイネージを管理するといった使い道もあるだろう。皆さんもぜひ「H97M ECO」で消費電力の最低値を探りつつ、その使い道を考えてみてほしい。
■ H97M ECOのスペック表 | |
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チップセット | Intel H97 Express |
対応ソケット | LGA1150 |
フォームファクタ | マイクロATX |
メモリソケット | DDR3 DIMM×4(最大32GB)、DDR3-1600対応 |
拡張スロット | PCI Express 3.0 x16×1、PCI Express 2.0 x1×2、PCI×1 |
ストレージ | SATA SATA 6Gbps×6 |
主なインタフェース | USB 3.0×4(バックパネル×2/ヘッダピン×2)、USB 2.0×8(バックパネル×4/ヘッダピン×4)、PS/2×2、ALC887 HD Audio(8ch)、Intel I218-V ギガビットイーサネット×1 |
映像出力 | HDMI×1、DVI-D×1、VGA×1 |