分冊で軽くなる……と思いきや?
--2015年版では分冊が発売されますね
糸井さん「これは、ずーっと前から考えていたんです。『重いんです』っていう声もありましたから。いくつかサンプルを作ったのですが、かえって良くないなあって思うこともありまして……。でも、問いかける価値はある、そう思って作りました。そうしたら早速『これで貼り放題になりました!』と言われて(笑)。自分で重くしてるわけですよ。わかんないですよね(笑)」
--ついいろいろ挟んだりしてしまうんですよね
糸井さん「『どっちでもいいんじゃない?』っていう『寛容さ』、それが楽しいのかもしれないですね。会社から配られた手帳を使わなきゃいけないという状況と真逆ですよね。作業着でもスーツでもない、ほぼ日手帳は言うなれば『私服』なんですよ」
--「私服」の手帳とは?
糸井さん「『着なさい』『使いなさい』と言われたものではなく、『着たい』『使いたい』というもの。つまりこの手帳は『あなたの自叙伝』みたいなところがあるわけだからね。『俺は1年こんなに生きたのか』と感じられる。しっかりと使ったら、3年とか5年たったときにものすごくうれしい思い出になるんじゃないでしょうか」
--最近手帳に書いた言葉で印象的なものはありますか?
糸井さん「『家族』です。今、犬猫の愛護に関わることを考えたり、やっています。犬や猫ってもうペットじゃなくて家族になっていると思うんですよね。そう考えると、野良犬や野良猫って家族がいない子たちになる。捨てられたっていうのは、家族を出されたという意味なんです」
--野良犬まで「家族」の枠組みで考えることってあまりないですよね
糸井さん「だから、皆が(野良)犬や(野良)猫も『家族』として捉え直すのはどうかと感じるようになったんです。血縁がないけど『家族』って、良いじゃないですか。今は『家族』という言葉をローマ字で書いたり、片仮名で書いたりしています」
--自由に書いて試せるのもほぼ日手帳のいいところですね
糸井さん「いろいろな表現ができますからね。家族の『か』は『KA』と書くべきなのか、家族の『ぞく』のところはどうなのかとか、そういうことを考えては書き込んでいます。家族というのは、今僕の手帳の中では面白いキーワードになっているんです」
ほぼ日手帳を半年ごとに分けた理由は?
--半年というのはどのようにして決まったんですか?
糸井さん「いろんな声があるんですよ、月ごとがいいとか、週間だけでいいですっていう人だっている訳ですから。でも半年で1冊ずつにしたら、なかなかいい形になりました。何でもこれ1冊でまとまるという楽しさがなくなっちゃうこともありますが、そういう人はずっと入れておいたらいいよね(笑)」
--今回の分冊はテスト的な意味合いがあるということですね
糸井さん「いつもそうです。ほぼ日手帳は使っている方の意見で改善していくので、お金をとるテストと言えます(笑)。逆に言えば、ほぼ日刊イトイ新聞というのがお金を取らない本番だから、それが表裏の存在なのかもしれませんね」
『SSACK(ザック)』は若い人の入り口を広げる一品
--今年もたくさんのラインナップが出ていますが、おすすめの1冊ってありますか?
糸井さん「おすすめはわかんないなあ。だけど、若い人の入り口を広げようって発売したのが『SSACK(ザック)』です」
--オリジナルサイズが税別1,200円、カズンが税別1,800円と、他に比べてすごく値段も抑えられてますね
糸井さん「パソコンなどでスチューデント用がありますが、そんな感じ。機能性を重視して、かつ大事にしない人も大事にしたくなるようなものです。雑に使ってもいい仕様になっています」
2015年版も魅力的なカバーが勢ぞろいし、分冊版も追加されたほぼ日手帳。たくさんのバリエーションの中から「これだ!」というものを見つけ出し、自分流に使いこなしたいところだ。